大統領へ送られた手紙。

2004/06/15 00:21 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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アメリカ国立公文書記録管理局という機関をご存知でしょうか?1934年に設立された独立機関で、アメリカの連邦政府における立法・行政・司法の三権すべてに関わる国家重要書類を記録、保管しています。さらにそれを政治に関わる役人や一般市民に提供するのも大切な仕事ですが、中にはもちろん国家機密に関する門外不出の大変重要な書類も保管されています。

さて一般市民から大統領宛に送られた手紙も、これら重要書類と同様、この公文書記録管理局に保管されているそうです。そしてこれら手紙の中には、小さな子供達がつたない文字で綴ったレターも含まれており、その内容にはなかなか味わいのあるモノも数多くあるそうで…。

キャロライン・ワーサーホッグちゃん(当時10才)が第二次世界大戦中に、ルーズベルトに送った手紙には


信頼なる大統領閣下

提案があるので、手紙を書きます。お父さん達を兵士として召集する時は、ラストネームをアルファベット順にしてください。

彼女の家族のラストネームは「W」で始まるので、ABC…順に国中から召集していけば、もしかしたら自分のお父さんの番が来るまでには戦争が終わってくれるかもしれない…、と言う願いを込めて書いたんでしょうね(涙)。

こう言った親を思う子供心が読み取れる手紙の他にも、色々と面白い「お願い」を乞う手紙が大統領の手元には届いています。先日亡くなったレーガン大統領宛に届いたのは、13才のアンディ・スミス君からの手紙。なんでも、彼の部屋があまりにも汚いので、お母さんが怒って「災害が来たみたいにグチャグチャ」といった種の発言をしたらしく…


大統領閣下、

部屋を掃除するための(災害被害者に提供される)国家救済補助金を送ってください。

と要求したそうです。

面白いのが、この手紙にレーガン大統領が自ら返事を書いたという事実。皮肉タップリのその手紙には


私の政権では、現在『個人セクターによる、自主的活動プログラム』を推奨しております。これは、ボランティア精神に基づいた一般市民をサポートし、その地区に起こる諸問題を、政府の補助無しで自ら解決していく実行力のある人々を賞賛するプログラムです。

君のお母様が、災害地として君の部屋を認定する事に異存はありません。そして今の君は、アメリカ中で既に活動している3,000人以上のプログラム参加者に仲間入りし、新しいボランティア活動を旗揚げできる立場にいます。

それは素晴らしいチャンスです。おめでとう。

ロナルド・レーガン

ジョーク好きで、楽天家だった大統領のキャラがしのばれるエピソードですね。

最後に、これら歴代大統領に宛てられた子供達の手紙の中でも、特に有名なモノを紹介しましょう。1940年、ルーズベルト大統領へ、キューバから送られた手紙です。


もし良かったら、緑色の10ドルアメリカ紙幣を送ってもらえませんか?どうしてかていうと、僕は今までに一度も緑色の10ドルアメリカ紙幣を見たことが無いし、出来れば一枚を自分で持っていたいからです。

フェデロ・カストロ
12才

今ではアメリカの政府を批判し、対立姿勢を頑なに貫くカストロ議長も、小さい頃にこんな手紙を書いていたなんて、ちょっと以外で楽しいですね。

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