KAT-TUNの亀梨和也(27歳)と、ドラマ「時効警察」などで知られる三木聡監督がタッグを組んだ話題の映画「俺俺」が先日、イタリアの第15回ウディネ・ファー・イースト映画祭にてワールド・プレミア上映された。そしてこのたび、同映画祭の受賞作品が発表され、3つある賞の中で「俺俺」が“観客賞(MY MOVIES AWARD)”を受賞したことがわかった。
“観客賞(MY MOVIES AWARD)”は映画祭での上映を映画を観た人と、鑑賞者以外にもインターネットで投票できる人気投票。これまで日本映画の受賞は「おくりびと」(2008年)が“ブラックドラゴン賞”(ジャーナリスト、映画関係者の投票)を、「テルマエ・ロマエ」(2012年)が“観客賞(MY MOVIES AWARD)”を受賞するなど、日本でも大きな話題になった映画が名を連ねているが、今回の「俺俺」の受賞は今年の映画祭で上映された日本映画12本の中で唯一の受賞となった。
映画祭のディレクター、サブリナ・バラセッティ氏は本作について「ウディネ映画祭はずっと三木聡監督の大ファン。監督の映画はいつも魅力的な作品ばかり。『俺俺』はシュールで、最高で、常識の枠を超える、今まで見たことのない傑作! そして主演の亀梨和也さんが『俺俺』の世界観にハマっていて素晴らしい! ウディネでワールドプレミアとしてお披露目できて光栄に思います」と絶賛。
また、選考委員のマーク・シリング氏は「ドライでファニーな視覚的なギャグを豊富にちりばめているが、前作よりさらに奔放で気まま、『変身』でしがないセールスマン、グレゴール・ザムザを巨大な虫に変えてしまったフランツ・カフカのような、大きな野望に満ちた作品に仕上がっている」とのコメントを寄せた。
また、映画祭での上映をきっかけに、世界中のマスコミの海外レビューでも取り上げられ、「オレオレ詐欺をしたことから俺の増殖が始まる」という奇想天外で不条理な世界を描いた本作に対し、「『転々』の三木聡監督は、不条理なユーモアのセンスと、奇抜なアイディアを極めて常識的な深みをもって見事にバランスを取ることができる類い稀な才能によって、忠誠心の高いファンを獲得している」(映画サイト「twitch」より)、「前半戦のドタバタコメディから後半はかなりダークでシリアスな展開に!三木監督の新作が稀にみる独創性に富んだ作品であることは疑いの余地なし」「人間とは?主観とは?究極に言えば『個』とはなんなのか?ということを深く考えさせられる映画であって、ただ笑うだけのコメディではないと言った方が適切」(COVENTRY FAREAST FILM SOCIETY review)など、称賛のレビューが多々あがっている。
今回の受賞と海外での称賛を受け、三木監督は「このような賞を頂き、本当に光栄に思います。サブリナさんをはじめ映画祭の関係者の皆さん、そして何より観客のお一人お一人の暖かい思いが、私のような不毛地帯に足を踏み入れている映画監督にとって、どれだけ勇気を与えてくれることか。おそらく、この映画に対する観客の皆さんの支持は主演俳優である亀梨和也に向けられたものであると、思います。彼は今後、日本映画を代表する俳優となるはずです。どうかウディネ映画祭の皆さん彼の今後を是非注目して頂きたい。皆さんの先見の明が実証されるはずです。最後にこの賞をきっかけにより多くの観客が俺化することを願っております。ありがとうございました」と喜びのコメントを寄せた。
映画「俺俺」は5月25日(土)、増殖開始。
☆2013年ウディネ映画祭上映 日本映画
「俺俺」監督:三木聡
「くちづけ」監督:堤幸彦
「クロユリ団地」監督:中田秀夫
「のぼうの城」監督:犬童一心、樋口真嗣
「グッモー・エビアン」監督:山本透
「ガール」監督:深川 栄洋
「新しい靴を買わなくちゃ」監督:北川悦吏子
「鍵泥棒のメソッド」監督:内田けんじ
「中学生円山」監督:宮藤官九郎
「るろうに剣心」監督:大友啓史
「みなさん、さようなら」監督:中村義洋
「横道世之介」監督:沖田修一