「夢で逢えたら」はコントを中心としたお笑い番組で、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、野沢直子、そして清水が出演。当初は関東ローカルの深夜番組だったが、1989年4月に全国放送に昇格した。土曜23時台の時間帯にも関わらず、最高視聴率20.4%を記録したこともある。
現在活躍する30〜40代のお笑い芸人にも多くの影響を与えたと言われる“伝説の番組”。しかし、清水は当時、収録に行きたくないと考えるほどの苦悩を抱えていたという。
清水はもともとライブでのものまね芸を得意としていたが、1980年代後半にテレビの世界へ飛び込み、1987年には「笑っていいとも!」のレギュラーも掴んだ。本人も「いいとも出られて、良かった良かった」と思っていたそうだが、1988年に「夢で逢えたら」が始まると、「(テレビには)トークがうまいほうが生きていくという文化があるんですけど、それが全然できなくて。みんなどうしてそんなに上手にしゃべれるんだって思って。そのときはすごい落ち込んで……」と、それまで芸で勝負してきた清水は、ほかのメンバーとのトークスキルの違いに悩んでいたそうだ。
清水いわく「猛獣みたい」と表現する、共演者のダウンタウン、ウッチャンナンチャン、野沢直子。そのため、収録時は「すごいブルーな気持ちだし、コントにもトークにも映らない日があって、『もうダメだ〜!』って感じで……」と当時の胸中を語った。
ただ、この経験が「そんな嫌な現実よりも、誰かになって憂さを晴らすというか」と思うにいたるきっかけとなり、何かになりきることで自分を表現する道に、より深く傾倒していくことになったようだ。