香港紙サウスチャイナ・モーニングポストや英紙サンなどによると、この話は、6月3日付で医学専門誌の香港メディカルジャーナルが発表したもの。具体的な時期は不明だが、ある日、ベトナム出身の66歳中国人男性が胃痛を訴え、香港の病院にやって来たそうだ。あごひげも生やしており、誰もが男性だと信じて疑わなかったところに、胃痛の原因が卵巣のう胞と判明し、医師も驚いた。
小さな男性器もあって、見かけ上は完全に男だったという当人。しかし詳細な検査をした結果、“彼”は2つの遺伝的症状が重なっていた事実が分かったという。その1つが女性の2,500人から3,000人に1人に現れるとされるターナー症候群というもので、女性には2本あるX染色体の1本が欠落した遺伝子上の問題だ。
加えて“彼”の体には、先天性副腎過形成という症状の影響も多分に受けていた。この症状は、ホルモンを分泌している副腎皮質の異常により、男性化作用があるアンドロゲンという物質が過剰分泌されるもの。これら2つの症状が重なった人の例は「非常にまれ」とされており、“彼”の場合はひげや男性器が発達した一方で、身長が137センチで止まり、卵巣があって精巣が形成されないなど、男女の身体的特徴がそれぞれ部分的に現れる形になったようだ。
今回の発表の中で、診察に携わった医師は「恐らく、近い将来では2人目は現れない」とコメント。患者はこれまで詳しく体を調べる機会もなかったとされ、「卵巣のう胞にならなければ、彼の興味深い状態は明らかにならなかったかもしれない」とも記されているという。