中国紙上海労働報などによると、この少年は8月6日13時ごろ、上海の浦東国際空港に現れた。少年の対応をした空港検査員の話によると、少年は一人で出国審査カウンターを訪れ、「英国に行き、オリンピックを観たい」と言ってきたそうだ。
しかし、少年が手にしていたのは本物の旅券ではなく、2010年に開催された上海万博の“旅券”。上海万博では旅券と同サイズの専用旅券を販売しており、各パビリオン出口付近で記念スタンプを押せるようになっていた。少年はこの上海万博の旅券に英国パビリオンのスタンプを押してもらっていたようで、それで英国に行けるものと本気で信じていたようだ。
空港警察の調べで判明したのは、少年は浦東新区周家宅で暮らす10歳の小学生。親からは「夏休みにオリンピックに連れて行ってあげるよ」と約束されていたが、親の都合で急遽キャンセルになり、ふてくされて家出を図ったという。一緒に行く約束をしていた友人家族は実際にオリンピック観戦に行ってしまったことから、彼らを追いかける形で上海万博の旅券とお年玉2,000元(約25,000円)を手に、地下鉄に乗って空港に現れたのだった。
ちなみに、空港警察が少年の家族と連絡を取ったとき、家はちょっとしたパニック状態。家族は少年の無事を知り、ホッと胸をなで下ろしたそうだ。