◎食べる頻度が高いほどリスクも上昇
Odegaard氏らは、中国系シンガポール人に対して行われた健康調査の登録者(45〜74歳)を対象に検討を行った。健康調査は1993〜98年、6万3,257人に個別面接で普段の食生活、身長、体重、喫煙習慣、運動習慣、既往歴などを聞き、1999〜04年に電話による追跡調査を実施した。追跡調査が行われたのは5万2,322人となっている。
計165項目の飲料や食品について、摂取する頻度別に回答を集計。ファストフードの該当項目はハンバーガー、チーズバーガー、フライドポテト、ピザ、サンドイッチ類、フライドチキン、ホットドッグとした。
その結果、ファストフードの高い頻度で食べている人はより若い世代に多く、高血圧が認められず、運動習慣がより多いなどの傾向が示された。また、ファストフードを高い頻度で食べている人では、野菜や米などの摂取量がより低い傾向も示されたという。
また、ファストフードを「全く食べない」と回答したグループと比べた糖尿病リスクは、「月1〜3回」のグループで1.02倍、「週1回」のグループで1.17倍、「週2回以上」のグループで1.27倍と、食べる頻度が高まるにつれてリスクも上昇した。
冠動脈疾患による死亡リスクも、「月1〜3回」で1.02倍、「週1回」で1.19倍、「週2回以上」で1.56倍と、食べる頻度が高いほどリスクが上昇した。
今回の結果を受けて、Odegaard氏らは「今や世界の至るところに食べられるファストフードが、糖尿病の発症や冠動脈疾患による死亡の一因になっていることが明らかになった」とし、世界的に食習慣が変わっていることが健康にどんな影響をもたらすか、検証する必要があると訴えている。
※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/07/10/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。