中国紙成都晩報などによると、“入場料値上げ”の機運が高まっている昨今の中国において、河南省にある7箇所の5A景区(政府が定める最高位の観光地)――洛陽の龍門石窟、安陽の殷墟遺跡など――はこうした流れに追随せず、値上げしないことを決定。同省欒川県にある老君山観光地に至っては、特定の条件を満たしている人に限り、80元(約1,000円)の入場料を年内無料にする太っ腹な企画を開始した。
その条件は、姓が“李”であること。老君山はかつて景室山と呼ばれ、古代中国の哲学者・老子(李耳)が修行した場所で、唐の第2代皇帝・唐太宗(李世民)が老君山に改名した。この歴史的な経緯にちなみ、今回、“李”にゆかりのある地として姓に関連した条件を設けたというわけだ。
同観光地の副総経理は「この企画はまだ多くの人に知られていないので、無料で入場したお客さんは100〜200人程度です」(5月2日時点)と語っているが、ネットではこの試みに称賛の声が多数出ており、中には「李さんが本当にたくさん来てしまったら、観光地は大丈夫かな」などと心配する声まで出ている。ただ、一部からは「姓で無料にするなんて差別だ」との意見も出ているようだ。
なお、中国で最も人口が多い民族は漢民族(約12億人)だが、その漢民族の四大苗字は「王・李・張・劉」。これら4つの苗字が漢民族全体の人口に占める割合は30%弱と言われており、単純計算すれば1億人近い人が「李さん無料」の恩恵を受けられる計算となる。