このメガネは、米国で今夏発売予定の「emPower!」(PixelOptics社)。「全く新しいメガネレンズのカテゴリーを構築」(公式サイトより)という目標を掲げて2005年に設立されたPixelOptics社は、実現に向けて世界中から科学者や専門家を集め、すでにレンズに関する特許を世界で300以上取得したとされる。そうした技術を利用して完成した「emPower!」は、今年3月にニューヨークで開かれた国際的なメガネの見本市「Vision Expo East 2011」などにも出品され、この夏の発売に向けて準備が進められているそうだ。
米誌Gizmagによると、このメガネは「2枚のガラスレンズの間に液晶のような液体レンズを挟む」仕組みで、挟まれた液体レンズは電気を通すことで素早く焦点を変えられる。バッテリーはメガネ本体に組み込まれているというから、かなり小型化はされてはいるが、1度に8時間充電すれば「2、3日は焦点を変えられる」(英紙デイリー・メール)とのこと。ユーザーは寝ている間に充電をするだけで、通常のメガネと同様に扱えるというわけだ。
また、遠近の切り替えは自動と手動の双方で可能で、自動モードでは頭を上げると遠くに、下げると近くに焦点が合うよう自動的にレンズが変化する。手動モードの場合は柄の部分をタッチすると切り替わる仕組みだ。そして、度の変化スピードについてはPixelOptics社がYouTubeに投稿している動画(「Electronic Glasses in the Works Locally」http://youtu.be/iySMM6GxS0U)で、レンズの度が一瞬にして変わる様子が分かる。
技術が詰め込まれたメガネとあって、気になるのはそのお値段。現在のところ、このメガネには36種類のタイプが揃えられ、価格は「1,000ドル(約8万2,000円)から1,200ドル(9万8,000円)」(Gizmag誌より)を予定しているという。最新技術の付加価値を考えれば妥当とするべきかもしれないが、この技術が普及して消費者が安価にこのメガネを利用できる時代が来るのも、そう遠くないのかもしれない。