“夢の馬券”が飛び出したのは、3月8日にレースが行われたエクセター競馬場。この日、配管工の仕事をしている61歳のスティーブ・ホワイトリーさんは、友人らと一緒に競馬場を訪れていた。「年に1、2回来る程度」(英紙デイリー・メールより)とあまり競馬に詳しくない彼だったが、的中難易度の高い6重勝単勝式馬券「Tote Pool」を購入。デイリー・メール紙には、選択した馬名が書かれたその馬券が掲載されているが、3レース目で2頭選んでいるものの、残り5レースに関してはすべて1頭のみで勝負し、計2通りで2ポンドを賭けた。
かくして始まった1レース目は有力馬が勝利。2レース目は単勝オッズ12倍の馬が勝ち、この時点で的中馬券は36万枚超から9,076枚と、早くも40分の1まで減少する。さらに、3レース目には軽く荒れた展開となって単勝16倍の馬が勝利し、的中馬券は571枚まで激減。続く4レース目も単勝16倍の馬が1着となり、いよいよ当たる可能性が残された馬券は7枚まで絞られた。
このとき、友人に「7人の中にお前がいるよ」と言われたというホワイトリーさん。軽く誘いに乗って買ったつもりが、本当に大当たりを得られるチャンスが目の前にやってきて、「信じられなかった」と、当時の心境を振り返る。
しかし、本当の驚きはこれから。5レース目に単勝5倍の馬が飛び込むと、7枚の的中馬券がついに1枚となり、いよいよ当たるチャンスは彼だけになった。「震えていた」という彼が最後に賭けていた馬は、単勝12倍と決して本命ではなかったが、ここまで来ると神懸かり的な“何か”があったのかもしれない。最後の6レース目も予想通りの馬が勝ち、ホワイトリーさんは6レース連続で勝ち馬を当てることに成功。彼が賭けた2ポンドは、144万5671.71ポンド(約1億9305万円)になって返ってきた。
競馬場関係者によると、的中者が出た場内は「信じられないほどの興奮」に包まれたそうで、関係者らもホワイトリーさんを祝福。また、彼は6レース目で勝利した馬と女性騎手のもとを訪れ、喜びの気持ちなどを伝えたそうだ。そして、その夜は彼の的中を祝って仲間たちと勝利の美酒に酔い、翌日の朝は二日酔いの状態でいつも通り仕事を始めた。ちなみに、大金を手にしたからといって急にライフスタイルは変えず、今後も仕事は続け、質素な生活をしていくとのこと。
ただ、2億円近い大金はまだ彼の手元にはない。お金はすべて銀行に振り込まれたようだが、「村の銀行が金曜まで開かないんだ」(英紙サンより)と11日までお預けの状態だ。そのため、まだ手元にお金がなかったホワイトリーさんは9日が誕生日だった妻にプレゼントを買えず、贈ったのは100円もしないバースデーカードのみ。でも、今回ばかりはさすがに妻もあまり怒っていないという。