日本ではなじみが薄いが、野球に似たスポーツで英連邦諸国では絶大な人気を誇るクリケット。その各国代表戦の中でも注目を集めるのが、発祥の国とされる英国のイングランド代表と強豪国オーストラリアとの対抗戦「ジ・アッシズ」だ。この対抗戦、始まりは1882年と歴史があり、当初はイングランド代表チームが圧倒。しかし、力を付けたオーストラリア代表も1891年に初めてタイトルを奪うと、その後は互角以上の成績を残す強豪国へと発展する。
力関係は今や逆転し、現在世界ランキング1位に位置するオーストラリアに対し、イングランドはスリランカやインド、南アフリカに次いで5位(2010年11月8日現在/国際クリケット評議会より)。クリケット・ワールドカップも3連覇中と強さを見せるオーストラリア代表だが、「ジ・アッシズ」に関しては一進一退の戦いを強いられている。この大会はそれぞれの国で交互に開かれているのだが、2002-03年からは自国で開催したチームが勝っており、前回2009年はイングランドがタイトルを奪った。
それだけに今回は、発祥の国として意地を見せたいイングランドと、世界一として強さを見せつけたいオーストラリアとの戦いとして、両国民も高く注目している。5試合が組まれている11月25日から2011年1月までの間、それぞれの国では代表チームの戦いぶりに一喜一憂する人々で溢れるのは間違いない。その熱気をさらに盛り上げようと、無料ビールの配布を発表したのが、代表スポンサーも務めているオーストラリアの大手ビール会社カールトン・アンド・ユナイテッド・ブリュワーズだ。
英紙ガーディアンによると、同社はオーストラリア代表チームがカップを手にした場合、新聞5紙にビール引き換え用のクーポン券を掲載すると発表。これを使えば、同社の瓶ビールもしくは缶ビールを1本無料でもらうことができ、その費用は「2,000万オーストラリアドル(約16億円)」に上るという。一企業としてはかなりの後押しとも言える話だが、それだけオーストラリアではこの大会が注目されていることの証。自国開催では1978-79年大会を最後にイングランド代表に負けていないオーストラリア代表にとって、ビール目的であろうとも、熱い声援は選手にとって心強いものとなりそうだ。