中国紙四川在線で紹介された典型的な“蜂の巣族”の暮らしの一例はこうだ。彼らはエレベーターのない団地に暮らし、80平米程度の広さの部屋には二段ベッドが所狭しと並べられている。その数は25台。単純にベッドの数で計算すれば、少なくとも25人が生活を共にしていることになる。一人当たりの占有面積は3平米程度と極端に狭いが、その代わり月の家賃は1人100元(約1,300円)とかなり安い。
この部屋の“蜂の巣族”によれば、暮らしているのは20代の若者たちで、いずれも団地近くのホテルで働く労働者。つまりは住み込みで働いている形だ。
もちろん、彼らはこうした生活環境で良いと思っているわけではないが、若者たちは「いま街の中心部で部屋・食事付きの仕事を探すのはとても難しい」と語るなど、生活環境の悪さと引き換えに「なんとか生きられている」と考えているという。
こうした“蜂の巣族”は皆、質素な暮らしをしている。給料は月1,000元(約13,000円)程度で、仕事以外の時間はテレビを観るか寝るかの生活を送り、お金を節約。唯一の娯楽と言えば、ネットカフェに行くことぐらいしかないそうだ。
“蜂の巣族”の若者は“蟻族”のように高学歴ではなく、中国で給料の高い職業に就くチャンスは皆無。そのせいか、彼らの夢は少しのお金をコツコツと貯め続け、いつか自分で投資金が少なくても始められる商売をすることなのだという。