ロンドン・ダンジョンは過去に起きた事件をモチーフにしたアトラクションをいくつも用意しているお化け屋敷。新設された「ブラッディ・メアリー」は、16世紀にプロテスタントの女性や子ども300人を処刑した、女王メアリー1世の俗称から名前が付けられている。今回問題となった広告は、このメアリー1世をモデルにしたものだ。
10秒程度の広告は、メアリー1世の肖像画と同じように椅子に腰掛けた女性モデルの顔が突然ゾンビのように変化。驚かすように口を開けて迫った後、再び元の肖像画通りのポーズに戻るという内容だ。この広告が「ロンドン地下鉄のエスカレーターに設置された」(英紙デイリー・テレグラフより)そうだが、老若男女を問わず、誰もが目に触れる場所で流すには少し出来が良すぎたのかもしれない。
この広告が流れ始めると、「8歳の子どもが広告を見て怯えた」など、子を持つ親から4件の苦情が英国広告基準局に寄せられたという。これにより審査に当たった広告基準局は「不適当との結論に達した」として、ロンドン・ダンジョンに広告の掲示禁止を通達することになった。
ロンドン・ダンジョン側は「メアリー1世の“闇の部分”を見せたかった」と演出の意図を説明しているが、不特定多数が触れる広告としては、いささか配慮不足だったのかもしれない。一方で、メディアにこの件が取り上げられたことで格好の宣伝になったのは確かで、結局、この夏の話題となることは間違いなさそうだ。