英BBCによると、この男は67歳の元教師ブライアン・ローレンス終身刑囚。彼は3年間交際した元恋人と仲良くしていた男性らに嫉妬、2003年に1人の男性を殺害し、家に火を放った。さらに2人の殺害計画を立てていたところで、警察の潜入捜査により逮捕。2005年に行われた裁判の結果、終身刑を言い渡され、パークハースト刑務所に収監されることになる。
そんなローレンス終身刑囚は、密かに脱獄計画を練っていた。その計画とは、刑務所の防護ネットが張られていない場所に仲間のヘリコプターを呼び寄せ、スペインへ逃亡するというもの。音楽祭が行われている期間ならば、ヘリコプターが飛んでいても怪しまれないと考えたローレンス終身刑囚は、実行に移すため計画を仲間に手紙で知らせることにした。ここで彼は看守のチェックが入ることを想定し、実行計画を目に見えない形で手紙に記したという。
元教師の経験や知識を生かしたのか、彼は数独にレモン汁で秘密のメッセージを記述。火であぶると浮かびあがるレモン汁のメッセージで、チェックの網をくぐり抜けようと画策したのだ。これが無事に届けば、後は音楽祭に合わせて実行するのみ。しかし、彼が手紙に仲間への細かな配慮をしたことで、それが逆に仇となってしまった。
手紙の内容をチェックしていた看守は、「more heat less light」の一文に引っかかったという。そこで看守が手紙をあぶると、浮かび上がったのは「ヘリコプターが下りる場所の地図や指示」(英紙ガーディアンより)が書かれたメッセージ。看守を侮り過ぎたのか、数独に込められた脱獄計画の内容は、彼の期待も虚しく刑務所内で発覚することとなった。
パークハースト刑務所では1995年に3人の囚人に脱獄された苦い経験があるだけに、今回の発見には喜びを隠しきれない様子。バリー・グリーンベリー刑務所長は「我々のセキュリティーチームとハンプシャー警察が、脱獄計画を防いだのは嬉しい」(BBCより)と話し、職員の活躍も労っている。一方、失敗したローレンス終身刑囚は別の刑務所に移送されたという。