「ぶっかけ!おかずラー油チョイ辛」は“おかず感覚で使う”をコンセプトにした具入りのラー油。ごま油と唐辛子の程良い辛味が効いたラー油に、香ばしさとカリカリの歯触りをプラスするフライドガーリック、同じく香ばしさと噛み応えのある食感のアーモンド、熟成された唐辛子のコクが味わえる辣醤(※唐辛子を発酵させた中華調味料のひとつ)を入れている。
エスビー食品は冷や奴や納豆などの薬味として、そして野菜炒めやチャーハンなどの炒め物の調味料としての使い方を提案。加えてご飯やうどん、そうめんなどにもマッチすると太鼓判を押している。
◎ご飯にかけて食べるラー油
もともと調味料やつけだれとしての具入りラー油自体は中華料理の世界では珍しいものではないが、「ご飯などにかけて食べる」という食べ方が広まったひとつのきっかけとなったのは、京都・太秦の中華料理店「菜館Wong」が販売しているものだろう。
このラー油、京都の東映京都撮影所(太秦撮影所)での仕事が多い芸能人がハマり、テレビや雑誌で紹介するというパターンが続出。例えば2008年には仲間由紀恵が「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)、俳優の西村和彦が「はなまるマーケット」(TBS系)で同時期に「ご飯にかけて食べる」食べ方を紹介している。このときは、放送直後から掲示板サイトやQ&Aサイトに「あのラー油はなんだ」との声が寄せられるなど、大きな話題を呼んだことを覚えている人も多いかもしれない。
また、個性派俳優として知られる田中要次も同店のラー油のファンで、公式ブログの2008年10月27日付けエントリーでは「菜館Wong」を訪れた様子をつづるとともに、「ここの自家製ラー油が売られてるんだけど、これがまたイイ!」と絶賛。「何でも撮影所の人たちは一人一瓶持っているという勢いなんだとか……」と、当時、太秦撮影所で大ブームになっていたことを紹介している。
ただ、「菜館Wong」のラー油は同店を訪れなければ購入できないという地理的な制約があったため、「話に聞いていても、実際に食べる機会がない」と嘆く人も多々。しかし、その後、メディアでも頻繁に取り上げられるようになった「ペンギン食堂 石垣島ラー油」のヒット、そしてスーパーなどで購入できる桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」が発売されたことをきっかけに、いよいよ“食べるラー油”は全国区でのブレイク期を迎えた。
ちなみに具入りラー油は、大手メーカーではほかに李錦記も粗く刻んだ唐辛子とにんにくをたっぷりと入れた「具入り辣油」などを発売しているが、こちらは調味料としての色合いが強い。明確に“食べるラー油”というコンセプトを打ち出した大手メーカーの商品としては、エスビー食品が今回発売する「ぶっかけ!おかずラー油チョイ辛」が、初めての「辛そうで辛くない少し辛いラー油」の対抗馬となる。
新たな市場を開拓した「辛そうで辛くない少し辛いラー油」に、追随する形で登場する「ぶっかけ!おかずラー油チョイ辛」。この2つの“食べるラー油”に、以前から発売されている各地の具入りラー油を交えてこれから繰り広げるであろうラー油戦争、ほかのメーカーの動向も含め、まだしばらくは目が離せなそうだ。