米紙ロサンゼルス・タイムズによると、この男性はコロラド州コロラドスプリングスの慈善団体で働くダニエル・ウーリーさん。ウーリーさんは貧困問題を伝えるドキュメンタリー映画制作のためにハイチを訪れ、ポルトープランスにある高級ホテル「モンタナホテル」で地震に遭遇した。ウーリーさんは地震から65時間後に救出され、ハイチの米国大使館内の病院で一旦治療が行われた後、マイアミの病院に搬送されている。足の骨折などのケガを負ったものの命に別状はなく、順調な回復を見せているウーリーさんが、今回米メディアに被災時の様子を語った。
米ニュースサイトMSNBCによると、地震が発生時はホテルの壁が波を打ち、一瞬にして建物が崩れ、ウーリーさんはがれきの山に閉じ込められたそう。しかし、このとき持っていたiPhoneが大いに役に立ち、「ライフセーバーになった」と話している。被災直後、カメラ機能を使って周囲の様子を撮影して確認し、足を引きずりながらエレベーターシャフトの空間に逃げ込むことに成功。さらにケガを負っていた彼は、治療すらもiPhoneの機能を利用して対処したそうだ。
ウーリーさんはiPhoneに、予め適切なケガの処置の仕方を教えてくれるアプリケーションをインストールしていた。
米放送局NBCマイアミによると、骨折のほか、足に7センチもの大きな切り傷を負い、頭からも出血していたウーリーさんは、アプリの指示に従って足にはシャツ、頭には靴下を結び付けて止血した。ただ、出血がひどかったようで、ショック状態の不安もあった彼は、その対処法もアプリで検索。寝込んでしまうと危険と分かると、iPhoneのタイマーを20分おきにかけ、目を覚まし続ける努力をしたという。
ただ、この報道を受けた米国のネットでは懐疑的な見方も出ている。その多くは「iPhoneのバッテリーがそんなに持つのか」というもの。バッテリーがすぐに減ってしまうことでも知られるiPhoneだけに、65時間も使うことができたのか、不思議に感じる人が多いようだ。
とはいえ、スペック上のiPhoneの連続待受時間は最大300時間。アプリで応急処置の方法を検索したあと、アラームだけの使用であれば十分可能な数字と言えるかもしれない。