サッカー中国代表というと、2004年AFCアジアカップ決勝で日本代表と壮絶な戦いを演じたことが記憶に新しいが、華やかだったのはそれまで。その後は度重なる監督の変更、チーム内の不和など、様々な問題に悩まされており、実力を発揮できない不遇な日々を送っている。
そんな中国代表に痺れを切らしたのか、6月10日付けの「中国新聞網」に「日本サッカーに学べ」という論調の記事(「日本僑報」)が掲載され、話題となった。記事の内容は、「中国は東アジアの4強に、もはや入らない(オーストラリアが代わりに入る)」「体格が良くても技術がない」と中国代表を批判するとともに、4大会連続のW杯出場を決め、かつ前5回のAFCアジアカップで3回の優勝を果たしている日本代表に「いかに学ぶか」が焦点になっている。
この記事を書いた記者が日本サッカーに学ぶべきこととして挙げているのが、選手たちのストイックな「生活態度」「公平な競争」「選手の育成制度」といったこと。また、日本はブラジルのサッカーを手本としてきたが、中国はドイツやブラジル、ユーゴスラビアなど、様々なスタイルを中途半端に吸収しているため、「中国らしい」サッカーがいまだ生まれていないことを嘆いている。年齢詐称や審判買収などの不正が多いことも、中国サッカー発展の妨げになっていると、自省を込めた、かなり批判的な内容だ。
記事に関連して行われたアンケートでは、約7割の回答者が「日本サッカーに学ぶべき」と賛成を示す結果に。「日本であろうがどこであろうが、間違ったことは言っていない」「日本人は恨めしいが、サッカーは日本が正しい」「アジアカップでは日本戦以外見ない」などと、日本の強さを認める意見が大半だった。
中国では現在、若者の多くはサッカーではなく、バスケットボールを選ぶ傾向がある。その証拠に、サッカー協会に登録されている選手人口は最盛期の65万人から20分の1の3万人(2007年)にまで減少してしまった。しかしながら、アジア全体のサッカーレベル向上には中国の台頭は欠かせない。先日、北京を訪れたアーセナルのベンゲル監督が「なぜ人口13億人の中国がサッカー大国になれないのか信じられない」と「重慶晩報」に語っていたが、中国がいまだ可能性を秘めているのは事実。サッカー人口をいかに増やし、代表を強化していくのか。中国サッカー協会には早急な対応が求められている。