バルセロナのホーム、カンプノウでの第1戦まではチェルシーにとって完璧だった。超攻撃的なバルセロナに対し、いつもの戦い方を封印して超守備的な布陣を敷いたチェルシーは第1戦を0-0で乗り切る。後は有利な地元での第2戦で得点を入れてしのぐだけだった。実際、2戦目の前半9分であっさり1点を奪取。さらに怒涛の攻撃を仕掛けたが、この後敗退の原因とされた問題のシーンが続く。
後半36分、バルセロナDFジェラール・ピケ選手がペナルティエリア内でハンドしたかのように見えたが、主審はファールを取らずPKにならない。すると、後半ロスタイムにバルセロナが同点ゴールを叩きこむ。後がなくなったチェルシーは最後の攻撃でも、シュートがバルセロナのサミュエル・エトー選手のハンドを誘ったように見えたものの、これもファールにならなかった。選手の執拗な抗議も実らず試合は終了、チェルシーの選手をはじめサポーターも「イングランド勢同志の決勝を嫌ったUEFAが、主審に試合を操作させた」と怒りを爆発させた。
英メディアは、主審に対する殺人予告や感情を露わにしたチェルシーFWデディエ・ドログバ選手の発言など、騒動に関する記事を連日報じている。中でもサン紙は、試合開始数時間前にUEFA公式サイトで結果を伝えるページがテスト更新され、実際の内容と酷似していると報道。UEFAによる試合操作を思わせる内容だった。
サン紙に掲載されたUEFAのテスト更新画面はチェルシー側の数字しか読み取れないが、記事によると1-1の結果、提示されたイエローカードの枚数(3枚、実際は4枚)が似通っており、バルセロナの得点が試合終盤であることも予測していたという。このテスト更新を見たチェルシーサポーターは「あまりに結果が似ている」と語ったと記事は伝えている。
しかし、ボール支配率など他の項目の数字は大きく違っており、「酷似」の声を大げさとする指摘もある。この記事に寄せられたコメントでは「得点を決められず1-1にしたチェルシーが悪い」「結果に問題はない、早く(騒動を)終わらせろ」など、チェルシーを擁護する意見は見当たらない。また、同じくチェルシー側が唱える「UEFA陰謀説」を記事にした英紙ガーディアンには、「(UEFA会長の)プラティニに仕組まれた」と擁護するコメントはあるものの、大多数がチェルシーを非難。「(サポーターと思われる)殺人予告なんてバカげている」という声のほか、テレビカメラを前に暴言を吐いたドログバ選手にも「がっかりした」「放出しろ」などの批判が多い。UEFAも今回の騒動を収拾すべく、調査を行うとしており、感情をコントロールできなかったチェルシー側は敗戦以上のダメージを負いそうだ。