そんな学生の不満に目を付けた、あるサービスが中国で人気となっている。それは時間単位で学生に部屋を貸す、日本で言うラブホテルのような「貸し部屋」サービス。中国には日本のようなラブホテルはなく、一般宿泊客向けのホテルが時間単位で部屋を貸してラブホテル的な役割を担っているのが現状だ。
「貸し部屋」もそれと変わらないような気もするが、特殊なのは保証金さえ支払えば身分証の提示が一切必要ないこと。中国でホテルに宿泊する場合、必ず身分証(外国人はパスポート)の提示が要求されるため、大学生の未婚カップルがホテルに宿泊することは実質的に不可能なのだ。その点をカバーしたのが「貸し部屋」と言える。
「貸し部屋」の料金は都市によってまちまちだが、3時間の利用で30元(約210円)ぐらいから。プラス50〜100元の保証金が必要となる。貸し部屋には、無料インターネットや自動マージャン機、書斎など、学生が楽しめる環境が整備されているのも人気の理由だ。貸し部屋のオーナーは「金曜日と土曜日は、学生がとても多い。学生は主要な顧客源ですよ」と、学生が主な利用者であることを認めている。
しかし、この「貸し部屋」。都市圏の大学付近に増殖し続けているものの、「そもそも違法なのではないか」という疑問の声もあちこちで囁かれている。「貸し部屋」には「麻薬、賭け事、色情などの違法な活動厳禁」と告示文が掲示されているが、中にはフロントでコンドームを提供したり、部屋に大人のおもちゃが備わっていたりするところもあるようで、もはや「学生向けラブホテル」と言っても過言ではない状況だ。仮に当局の査察が入れば、一瞬にして営業停止を喰らう可能性もある。また、身分証を提示しないため、高校生や中学生などの利用者の低年齢化も避けられない。
ネットでは「便利だ」「普通のことだ」などと貸し部屋への賛成意見が多いが、実際は「綱渡り」的サービスであるようだ。