「日本の映画産業は洋画が支えている」。そう言われていたのも今は昔。昨年は邦画の興行収入が1,000億円の大台を超えて過去最高の約1077億5000万円を記録し、21年ぶりに洋画(約948億円)を上回るなど、「邦画復権」を強く印象付けた年だったなりよ。76.5億円の「ゲド戦記」を筆頭に、71億円の「LIMIT OF LOVE 海猿」、60.8億円の「THE 有頂天ホテル」、53.4億円の「日本沈没」、52億円の「デスノート the Last name」、50.9億円の「男たちの大和/YAMATO」と、50億円以上の作品が6本も並んだなりね。

一方、2006年の洋画興行収入は前年比18.5%減と失速傾向で、「ハリウッド映画はネタ切れ」「派手なアクションには飽きた」と厳しい声が飛び交い、逆風に耐える厳しい年だったなりよ。この流れは本場の米国でも同じで、興行不振は何も日本に限った話ではなかったなりが、かつては絶対的な強さを誇った洋画の失速に失望する声もずいぶんと聞かれたなりよね。

でも、そんな逆境から一転、今年の洋画はなにやら絶好調の様子。特に、大作が揃った今夏の洋画は、過去最高の興行収入を射程圏に入れているほど、活況を極めているなりね。どのような洋画が公開される(されている)のか、今夏のラインアップを改めて確認しておくと。

◎2007年夏の洋画(主にハリウッド系)
「ダイ・ハード4.0」(6月29日公開)
「シュレック3」(6月30日公開)
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」(7月20日公開)
「ゴースト・ハウス」(7月21日公開)
「レミーのおいしいレストラン」(7月28日公開)
「トランスフォーマー」(8月4日公開)
「オーシャンズ13」(8月10日公開)
「シッコ」(8月25日公開)
「TAXi4」(8月25日公開)
「アーサーとミニモイの不思議な国」(9月)
「ファンタスティック・フォー/銀河の危機」(9月)
※「スパイダーマン3」(5月1日公開)、「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」(5月25日公開)も。

大ヒットが約束されている「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」をはじめ、米国の批評家たちから高評価が相次ぎ、2007年上半期の映画No.1のお墨付きを獲得した「レミーのおいしいレストラン」、全米で驚異的な出足を見せている「トランスフォーマー」、豪華キャスト競演が毎度話題の「オーシャンズ13」、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー「シッコ」など、話題作が目白押し。今年の夏は映画界をハリウッド映画が席巻しそうなりよ。

昨年に比べると幅広い年代が楽しめる邦画作品が少ないことも洋画好調の一因となっているなりが、邦画と洋画が刺激しあうことで映画産業全体が活気づくのは、映画ファンには嬉しいことなりよね。夏は洋画の圧勝に終わりそうなりが、今年後半から来年にかけて、邦画と洋画のヒット作のバランスがどのように変化していくか、注目しておきたいところなり。
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