特集ではダニエル・パウターを筆頭に、キーン、テディ・ガイガー、ピアノ・エモを主題としているバンドたちを紹介。また、ぼくがレコード屋さんで試聴して一発で購入を決めた81歳の新人、ベント・ファブリックも取り上げているのだ。
ダニエル・パウターは冒頭で紹介した通り、その音楽はかなり日本に浸透している。彼のデビュー直前に「ロッキング・オン」など音楽誌で紹介されていたのだけれど、これほどヒットするとは思ってもみなかったのだ。サマソニではどんなステージを見せてくれるのだろう。ちょっとのぞいてみようかな。
そして、ロックのなかにピアノを効果的に使っているキーン。しかも、ロックのバックグラウンドは英国伝統の“ビートルズ式”。これは、どこか陰のあるロックが好きな女性の心理を突いているのだ。ウォール真木が大ファンというのもうなずける。
米国でヒット中のテディ・ガイガーは、17歳現役高校生。「新世代のビリー・ジョエル」と噂されるほど巧妙にピアノをあやつるイケンメンということで、米国では「彼を一目見たら恋に落ちる」ともいわれているとか。こちらはアメリカン・ロックをバックグラウンドにピアノや電子音を絡めている。
こうした潮流に先駆ける形となったピアノ・エモ・バンドとして、ウェイキング・アッシュランド、メイ、コープランド、ジャックス・マネキンを紹介。エモーショナルなロックにピアノの幽玄さを加えた音楽は、こうしたピアノ融合系の音楽が好きな人なら必聴なのだ。
81歳の新人、ベント・ファブリックは、ジャジーなピアノを響かせている。元々デンマークのレコード会社メトロノーム・レコードのオーナーで、彼のスタジオではクインシー・ジョーンズ、ルイ・アームストロングら錚々たるメンバーが録音している。しかし、基本的にジャズ・ピアニストのベント・ファブリックは、81歳にしてデビュー・アルバム「ジューク・ボックス」をリリース。現在でもデンマーク国内をツアーしているというパワフルおじいちゃんなのだ。ノリのいいピアノは最高で、ボーカルは7人のシンガーを招いている。うーん、ジャジーでファンク、これはもうロックなのだ。
ビートルズからコールドプレイ、ホワイト・ストライプスまで、さまざまな形でロックとピアノは融合してきた。この夏は、ハードだったりメロウだったりするロックにピアノの爽やさと奥深さを加えたピアノ・ロックを聴きながら出かけてみては?