フィギュアスケートの五輪出場枠は、男子が1で女子が3。選考は昨季と今季の合計得点で査定するのだけれど、昨季の得点については最も獲得点が高かった国際大会の順位点の70%を「持ち点」とし、女子の各選手の持ち点ポイントは村主選手が700、安藤選手が665、恩田美栄選手(東海学園大学)が564、荒川選手が560、中野友加里選手(早稲田大学)が343だった。ちなみに、浅田選手の持ち点は501点。そして今季は、まずは6戦中2戦出場できるグランプリ(GP)シリーズとその上位6人が進めるGPファイナル(最高で計3試合)と国内大会のうち得点の高い2大会の得点が査定される。この時点で安藤選手が1865、中野選手が1643、恩田選手が1564、荒川選手が1560、村主選手が1550なのだけれど、GPシリーズのフランス大会とGPファイナルで立て続けに優勝した浅田選手のポイントは1901と、選考対象選手を抜いてトップに立っていた。この時から浅田選手の“特例出場”が話題となったのだ。
そして、今回行われた全日本選手権の得点が加算されるのだけれど、その結果は、村主選手が優勝、荒川選手が3位、恩田選手が4位、中野選手が5位で、最終ポイントは安藤選手2215、村主選手2150、荒川選手2060、中野選手2043、恩田選手2014となり、上位の3選手が五輪代表選手に選ばれたのだ。しつこいようだけど、五輪に出場できない浅田選手は同選手権で女子初となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2回決めて2位となり、最終ポイントも2451とダントツのトップになった。これは国際スケート連盟(ISU)の規定に対して批判や不満が出ないほうがおかしいのだ。
浅田選手の特例出場をISUに打診していなかったこと、そして24日に行われた全日本選手権では、アイスダンスで公式記録の訂正があり、男子では一番やってはいけない採点ミスを犯すなどの不手際ですっかり有名になった日本スケート連盟。浅田選手の件に関しては、「GPファイナル後にISUに打診していた」と、マユツバものの発表を行っているけれど(結局、ISUには拒否されたのだそう)、同連盟がこれだけ叩かれいるのは、連盟の五輪選考基準のなかに、「GPファイナルで3位以内に入った選手は、全日本選手権を待たずに内定する可能性もある。」という文言が含まれていることにあるのだ。GPファイナルで優勝しポイント的にもトップの浅田選手は、この規定からすると内定間違いなしなはず。なのに特例出場を積極的にISUへ打診しなかったのだ。また、GPファイナルで3位に入賞した中野選手も全日本選手権前にはポイントが2位だったこともあり、内定の対象になってもおかしくない。それなのに、GPファイナル4位だった安藤選手をまるで内定選手のように扱ったことで、大衆の厳しい目が向けられる結果となったのだ。これは、同選手を多用しているテレビ局や五輪の公式スポンサーとなっている企業、広告代理店にも及んでいる。
まあ、こんなふうに色々と問題があったけれど、メダル獲得の可能性が高い女子フィギュア、出場3選手にはぜひとも実力を発揮して素晴らしい結果をプレゼントしてほしいのだ。そうすれば、不満がたまっているファンの溜飲も少しは下がるかな? トリノ五輪のフィギュアスケートは、男子のショートプログラム(SP)が14日、フリーが16日、アイスダンスのコンパルソリーが17日、オリジナルが19日、フリーが20日、女子のSPが21日、フリーが23日、ガラ(エキシビジョン)が24日にそれぞれ行われるのだ。