雑誌「CROSSBEAT」8月号の特集「ロックを変えた50の革命」で、ビートルズやグランジ、ブリット・ポップなどとともに大きく取り上げられていたパンク・ムーブメント。その代表格はセックス・ピストルズやクラッシュになるのだろうけど、UKパンクはニューヨークからの輸入物なのだ。そして、ニューヨーク・ドールズやラモーンズ、パティ・スミスなどとともにそのニューヨーク・パンクを担ったのが、リチャード・ヘルが加入していたテレヴィジョン。ヘルはテレヴィジョン脱退後、元ニューヨーク・ドールズのジョニー・サンダースやジェリー・ノーランらとジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズを結成するのだけど、個性が強すぎるサンダースと対立したため、アルバムをリリースする前に脱退。そして、映画のタイトルにあるリチャード・ヘル&ザ・ヴォイドイズを結成したのだ。ちなみに、ヘルの現在の肩書きは、詩人/小説家となっているのだ。
今回の映画は、そんなリチャード・ヘルが脚本・主演、アート指向が強かった彼と友人関係にあったアーティスト、アンディー・ウォーホールが共同プロデューサーとして参加、本人役で出演しているのだ。ジョニー・デップ主演の映画「ビートニク」などを観てもわかるように、カウンター・カルチャーがアーティスティックに発達したニューヨークならではの、過激なイメージが強いUKパンクとはひと味違ったパンク・ムーブメントを体感できるそうなのだ。23年前に制作されたので、古くさいと感じる人もいるだろうけど、当時の生々しさが出ているのではないかと。
7月23日からシブヤ・シネマ・ソサエティで公開。連日21:20よりレイトショー1回のみの公開となっているので、会社帰りでも観られるのだ。7月28日にはBEAT CRUSADERSのボーカル・ヒダカトオル、8月4日にはシーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠とシーナらが参加するトーク・ショーも開催されるのだそう。また、音楽情報サイト「BARKS」で抽選で3組6名に劇場券のプレゼントも行っているので、興味がある人はぜひぜひ。映画公開記念Tシャツも販売中なのだ。
余談だけど、劇中でも登場する、ニューヨーク・パンクを支え、ミュージシャンの聖地となった小さなライブハウス「CBGB(CBGB & OMFUG)」(315 Bowery at Bleecker St. New York, NY)が、家賃の値上げで存続の危機にさらされているのだそう。漫画「BECK」でも「BCG」として登場し、パンク・ロッカーだけでなく、エリック・クラプトンやスティングなど、日本人でもハイロウズなどが出演したことのある伝説のライブハウスなだけに、これはぜひとも阻止したいのだ。映画の公式サイトでは、署名スペースの設置を企画しているそうで、音楽ファンはぜひとも一筆したためてほしいのだ。