このサービスはもともと、テレビやラジオ、インターネットなどで子供に関する事件発生を災害情報並みの扱いで速報していた「アンバー(AMBER;America's Missing: Broadcast Emergency Response)」というシステムを携帯電話へ広げたもので、同システムは1997年、誘拐された子供を捜すためにテキサス州ダラスの放送局が地元の警察と協力して構築したのだそう。これが全米に広がり、今までに200件以上の事件を解決しているのだとか。
ワイヤレス・アンバー・アラートにはALLTEL,Cingular Wireless,Dobson Communications,Nextel Communications,RCC/Unicel,Sprint,T-Mobile,Verizon Wirelessなどの主要通信事業者が参加しており、上記キャリアの利用者は電話番号を登録するだけで事件の速報を受けたり情報を提供するなどのサービスが利用できるのだそう。米国の携帯電話普及率は60%以上ということなので、これは事件の解決だけでなく、未然に防ぐことにも一役買いそうなのだ。
携帯電話の普及率で米国を超える日本では、セコムが行っている「ココセコム」やNTTドコモがPHSで行っている「いまどこサービス」(NTTドコモのPHSサービスは今年2月に新規申し込み終了)などがある。これはこれでとても有効だと思うのだけれど、あくまで“個人的”な感じがぬぐえない。ワイヤレス・アンバー・アラートのような「大勢の目がこの子を見張ってるぞ」というアピールが必要なのだ。また、子供が携帯電話を持つことは不利益なことも多く、必ずしも歓迎できるものではないけど、このシステムなら子供が携帯電話を持つことなく安全性をある程度高めることができるのだ。
米国でメーガン法(Megan's Law)と呼ばれる性犯罪者の出所後の情報公開が、日本でも本格運用されようとしている。これも重要なことではあるけれど、もっと人権問題に抵触しない、ワイヤレス・アンバー・アラートのような防犯システムを、日本でも積極的に国家レベルで構築してほしいのだ。