米ソウル音楽の礎を築いた伝説的ギタリストであり、ソングライター、プロデューサーとしても知られるスティーヴ・クロッパーが、12月3日、ナッシュビルで静かに息を引き取った。84歳だった。

家族は声明を発表し、「スティーヴは世界中の人々の人生に触れた才能豊かな音楽家であり、夫、父、友人として惜しまれる存在です。彼の奏でた音、書いた曲、影響を与えたアーティストたちを通じて、その精神と芸術は世代を超えて生き続けるでしょう」と追悼した。死因は明らかにされていない。
クロッパーはメンフィスのスタックス・レコードでハウスバンドを務めたブッカー・T&ザ・MG'sの創設メンバーとして頭角を現し、「グリーン・オニオン」などのヒットを記録。1960年代のソウル・サウンドを象徴する存在となった。オーティス・レディングやウィルソン・ピケットらの名盤にも深く関わり、その時代を代表するギタリストとして名声を確立した。
ローリングストーンやMojoなどの音楽誌はクロッパーを「史上最高のギタリストの1人」と称賛。ブッカー・T&ザ・MG'sとしてロックの殿堂入りを果たし、2005年にはソングライターの殿堂にも加えられた。1992年にはボブ・ディランのデビュー30周年記念コンサートでバックバンドを務め、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンを沸かせた。その後は、ブルース・ブラザーズ・バンドの一員としても活動し、映画音楽にも挑戦。1998年にはジョン・カーペンター監督の映画「ヴァンパイア/最後の聖戦」に携わった。
長年にわたりエルトン・ジョン、リンゴ・スター、ポール・サイモンら数々の音楽界の巨匠と共演。晩年も精力的に活動を続け、昨年は「スティーヴ・クロッパー&ザ・ミッドナイト・アワー」名義でアルバム「Friendlytown」を発表。ZZトップのビリー・ギボンズやクイーンのブライアン・メイが参加するなど、世代を超えたコラボレーションを実現していた。