アップルが、米国特許商標庁に申請した新特許「Flexible Displays With Heating Elements(加熱要素を備えたフレキシブルディスプレイ)」が公開され、折りたたみスマートフォンの最大の弱点とされる、寒冷地でのディスプレイ脆弱性を克服する技術が注目されている。

従来の折りたたみ端末は、低温下でポリマーや接着剤、フレキシブルガラスが硬化し、ヒンジ部分に応力が集中することでひび割れや折り目の定着が起きやすいとされてきた。アップルはこれに対し、透明導電層をディスプレイ内部に組み込み、センサーが安全温度を下回った際に電流を流して折り曲げ部分を加熱する仕組みを提案している。まるで「内蔵デフロスター」のように画面を温めることで、素材を柔軟に保つ狙いだ。
さらに、ヒンジ部にはアクチュエーターを搭載し、低温時には一時的にロックをかける機構も記載されている。これにより、ユーザーが無理に開こうとして破損する事態を防ぐ。加えて、歪み検知用の光学センサーや温度センサー、ひずみゲージがリアルタイムで折り曲げ部分を監視し、必要に応じて警告や動作制限を行う設計だという。
こうした複合的な保護システムは、折りたたみ端末を「繊細なガジェット」ではなく「信頼できるツール」として位置づけるアップルの意図を示している。特に映像制作者やモバイルフォトグラファーにとっては、堅牢で自己防御機能を備えた折りたたみ型iPhoneやiPadが、現場での編集や撮影ワークフローを大きく広げる可能性を秘めている。