「ノマドランド」が、米国時間25日（日）に開催されたアカデミー賞で作品賞を受賞した。

季節労働の現場を渡り歩く「ノマド（遊牧民）」の姿を描いた同作は、候補に挙がっていた「ファーザー」「ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア」「Mank／マンク」「ミナリ」「プロミシング・ヤング・ウーマン」「サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜「シカゴ7裁判」を抑え、最高賞となる同賞に輝いたほか、監督のクロエ・ジャオが、女性としては2人目、また有色人種としては初の監督賞受賞という快挙を果たし、さらにフランシス・マクドーマンドが主演女優賞を受賞した。

受賞の際、ジャオは子供の時に学んだことを振り返り、こう語った。

「中国で過ごした子供時代、父と漢詩や伝統的な文章を覚える遊びをしていました。一緒にそれを暗唱し、相手の詩の最後の部分をお互い唱えられるかどうかといったゲームです」
「『人は本来、善である』、これは私が子供の時に大きな影響を受けた言葉で、私は今でもそれを信じています。その反対が真実のように思われるかもしれませんが、私は人に出会う度、その人の良い部分を見つけてきました。ですから、この賞は自ら、そしてお互いの善を信じる勇気を持った全ての人へ贈られたものなのです」
「これはあなたのものです。あなた方は私をインスパイアし、前進させてくれます。ありがとうございます」

一方、主演男優賞は「マ・レイニーのブラックボトム」の故チャドウィック・ボーズマンの受賞が期待されていたものの、その予想を裏切り「ファーザー」のアンソニー・ホプキンスのもとに渡った。

助演男優賞には「ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア」のダニエル・カルーヤ、助演女優賞には「ミナリ」のユン・ヨジョンが獲得した。

さらに「ファーザー」は、クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレールの脚色賞と今回2部門に輝いた一方、「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネルが脚本賞、そして、「ソウルフル・ワールド」も長編アニメーション賞と作曲賞の2部門を手にした。


☆第93回アカデミー賞受賞者リスト

作品賞　『ノマドランド』
主演女優賞　フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』
主演男優賞　アンソニー・ホプキンス『ファーザー』

助演女優賞　ユン・ヨジョン『ミナリ』
助演男優賞　ダニエル・カルーヤ『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア』
監督賞　クロエ・ジャオ『ノマドランド』
脚色賞　クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール『ファーザー』
脚本賞　エメラルド・フェネル『プロミシング・ヤング・ウーマン』

衣装デザイン賞　『マ・レイニーのブラックボトム』
作曲賞『ソウルフル・ワールド』

短編アニメーション賞　『愛してるって言っておくね』
短編実写映画賞　『トゥー・ディスタント・ストレンジャーズ』
長編ドキュメンタリー賞　『オクトパスの神秘：海の賢者は語る』
短編ドキュメンタリー賞　『コレット』
国際長編映画賞　『アナザー・ラウンド』

音響賞　『サウンド・オブ・メタル　〜聞こえるということ〜』
美術賞　『Mank／マンク』
編集賞　『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』
撮影賞　『Mank／マンク』
視覚効果賞　『TENET テネット』
長編アニメーション賞　『ソウルフル・ワールド』
メイク・ヘアスタイリング賞　『マ・レイニーのブラックボトム』
歌曲賞　『ファイト・フォー・ユー』（『ユダ・アンド・ザ・ブラック・メサイア』）