ユーキャンは12月3日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、人々の働き方がどう変化したのか、さらには学びや資格に対する意識がどう移り変わったのかを明らかにすべく実施した調査の結果を発表した。
この調査は、20代〜50代の男女430名を対象に行われたもの。まず、コロナ禍の中で急速に広がりを見せたリモートワークについて質問した。
リモートワークの頻度をたずねたところ、2020年4月ごろは、ほぼ毎日リモートワークをしていた人が25.1%、1週間に1日でもリモートワークをしていた人が計55.6%という結果に。それに対して、現在(2020年11月)の状況については、毎日リモートワークしていると答えた人は17.7%、1週間に1日でもリモートワークをしている人が計47.2%だった。緊急事態宣言が解除されてからしばらく経ち、一部は出社しての業務に戻った様子だが、未だ半数近くはリモートワークを活用して働いていることが分かる。
また、リモートワークの実施状況について企業規模別にみると、現在、1週間に1日でもリモートワークをしている人の割合は、大企業(従業員1000人以上)で働く人は62.4%に対し、従業員99人以下の企業で働く人は31.4%に留まった。リモートワークの制度導入や事業内容の問題からか、その実施状況については企業規模によって違いが大きいようだ。
次に、リモートワークを経験した人たちに対して、仕事に使う時間やその質がどう変化したかを質問。時間については32.1%が仕事に使う時間が増えた、19.5%が減った、45.1%が変わらないと回答。時間的な変化がない人が多い一方で、慣れない業務環境や終わり時の定めづらさの影響もあってか、3割程度の人は今まで以上に仕事に時間を使うようになった様子だ。
仕事の質については、23.2%が「仕事の質は上がると思う」、31.7%が「仕事の質が下がると思う」、40.7%が「仕事の質は変わらないと思う」と回答。こちらも変わらないと考える人が最多となったが、質に変動があったと答える人も一定数いた。
具体的なリモートワークのメリットに関しては、69.5%が「通勤時間が不要になる」ことがメリットだと回答。以下「好きな場所で暮らせる/働ける」(46.3%)、「私服で働くことができる」(35.8%)と続いた。場所や服装等の制限がなくなったことを、多くの人が好意的にとらえていることが分かる。
自由回答の項目では「紙の書類が多いのでリモートワークは無理だと思っていたが、そんなことはなかった」(49歳・女性)、「仕事に係る心理的・身体的なストレスから解放され、ゆとりある生活が出来ている」(42歳・女性)といった声もあり、最初は不安に感じていたものの、やってみると上手く順応できたという人が多いようだ。
一方のデメリットについては、50.8%が「同僚とのコミュニケーションが減る」ことを挙げた。以下「プライベートと仕事の境界があいまいになる」(49.2%)、「仕事ができる環境やスペースを自分で整える必要がある」(36.2%)となり、気楽さはありつつも一部で不自由さを感じている事が分かった。
自由回答では「データ処理等、書類を出力しないとならない場面で慣れるのに工夫が必要だった」(56歳・女性)、「仕事の阿吽のコミュニケーションがなくなるので、仕事が薄っぺらくなった」(47歳・男性)といった声があった。
また、メリット・デメリットともに「特にない」と回答した人は少数(それぞれ2.8%、6.9%)に留まり、ほとんどの人が良い面も悪い面もリモートワークに見ていることが分かる。
リモートワークに関する質問の締めくくりとして、「今後もリモートワークを続けたいと思うか」と聞いたところ、「続けたい」と答えた人が43.5%、「どちらかというと続けたい」と答えた人が35.0%と、合計78.5%がリモートワークの継続を望んだ。メリット・デメリットはありつつも、賛成・反対どちらかと問われれば、一度リモートワークを始めた人の多くが、リモートワークを好意的にとらえていることが分かった。
企業規模別にみると、「続けたい」もしくは「どちらかというと続けたい」と継続を望んだ人の割合は、大企業(従業員1000人以上)で働く人で85.3%に対し、従業員99人以下の企業で働く人は66.0%に留まり、リモートワークの実施状況と同じく企業規模によって差が生まれる結果となった。従業員99人以下の企業で働く人では、リモートワークのデメリットとして「プライベートと仕事の境界があいまいになる」「緊急時の対応が難しい」を挙げる人の割合が他の企業規模と比べて多くなっており、今後のリモートワーク導入の課題となりそうだ。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワークをはじめ働き方そのものが大きく変わったのはもちろんだが、今まで以上に先の見えない時代における働き方に不安を感じている人も少なくない。事実「新型コロナウイルスの感染が広がってからとそれ以前を比べて、今の企業・ポジションで働き続けられるか不安になる機会が増えたか」という質問に対しては、「増えた」「やや増えた」と回答した人が計55.8%という結果になった。同様に「ストレスを感じる機会が増えたか」という質問についても「増えた」「やや増えた」と回答した人が計53.5%と、多くの方が不安を覚えていることが分かる。
そんな不安を抱える中で、今後働くにあたって重要と捉えられていることは何なのかを明らかにするため、続いて「働く企業や働き方を決めるにあたって大切にしたいことは」と質問。その結果、1位「収入」(50.2%)、2位「ワークライフバランス」(40.5%)、3位「休日や残業時間」(37.0%)という順位になった。一方で「職場の立地」については14.4%の回答に留まった。
制度面に関して「どのような勤務制度や条件を魅力的だと感じますか」と尋ねたところ、「週休3〜4日制」(35.1%)、フレックスタイム制(32.6%)、リモートワーク可能(32.3%)等が上位に上がった。
さらに、働き方の現状に続いて、そんな状況下で多くの人がどのようにスキルアップ・学びを捉えているのかを調査。まず、「withコロナ時代、社会で活躍するに際して重要だと思う能力は何か」とたずねたところ、1位「ストレスに負けない精神力」(39.1%)、2位「自分自身で業務をこなすための自己管理能力」(37.0%)、3位「問題を解決するための論理的な思考力」(27.9%)という結果になった。「ストレスを感じる機会が増えた」と半数以上の人が回答した先の質問と合わせると、人との接し方が大きく変わった世の中において、ストレスとどう向き合うかを重要視している人が多いことが分かる。
また、「働き方が多様化する中、より個人のスキルアップが求められると思いますか」という質問に対しては、47.2%が「求められると思う」と回答。「どちらかというと求められると思う」とした人と合わせると、8割以上が今後はよりスキルアップが求められると感じているようだ。
スキルアップの手段の一つである資格取得に目を向けても、「withコロナ時代、自宅で過ごす時間が増える中、資格取得に対する意識はどう変化しましたか?」という問いに計56.0%が「今まで以上に必要性を感じるようになった」と回答。必要性を感じた人からは、「セミナーなどの参加機会が減り、自ら進んで学んでいく必要性を感じた」(45歳・女性)、「空き時間が増え時間を持て余してしまっている」(29歳・男性)といった声があった。
新しい時代の働き方と学び方、そして資格取得に関する興味関心を踏まえた上で、最後にwithコロナの中で取得すべきだと思う資格について調査。結果、1位には「メンタルヘルス・マネジメント検定」(14.0%)が選ばれた。先述の「withコロナ時代、社会で活躍するに際して重要だと思う能力は何か」で「ストレスに負けない精神力」が最も注目を集めたのと同様に、新しい環境下でのストレスとどう向き合うべきか気になっている人が多いことが分かる。選んだ人からは「いろんな意味でストレスを抱える人が増えそうだから」(54歳・男性)、「ストレス社会と向き合うのはどんな人も避けられない」(35歳・女性)など、誰しもが必要になるスキルなのではないかという意見が見られた。
2位と3位には、リモートワークでも変わらず必要になるITスキルへの関心からか、「ITパスポート」「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト(MOS)」がランクイン。ITパスポートを選んだ人からは「コロナによるデジタル化を受けて」(24歳・女性)といった声が、MOSを選んだ人からは「リモートワークをする上での基本的なスキル」(55歳・男性)といった声がそれぞれ寄せられた。