丸ノ内線500形、アルゼンチンから“帰国”

2017/11/27 17:10 Written by Narinari.com編集部

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東京メトロは11月27日、中野車両基地(東京・中野区)で「丸ノ内線500形車両除幕式」を開催。復元された「丸ノ内線500形車両」をメディアに公開した。

真っ赤なボディに白帯、ステンレスのサインカーブが特徴の「丸ノ内線500形」は、「300形」の増備車両として1957年にデビュー。1996年の引退前後(1994年〜1996年)に、アルゼンチンのブエノスアイレス市の地下鉄に131両(300形7両/500形110両/900形14両)が譲渡された。同地では約20年間にわたって主力車両として活躍してきたが、2016年7月に「技術教育の充実」を目的に4両が日本に里帰り(※一部車両は現在もブエノスアイレスで活躍中)。同年9月に復元プロジェクトチームが立ち上げられ、今年11月に1次補修が完了したことを受け、今回の公開に至った。

公開されたのは3両(584号車/734号車/771号車)で、584号車は登場時仕様、734号車は引退時仕様、771号車はアルゼンチン仕様としてそれぞれ復元。方向識別灯の有無、台車の色やつり革の形の違いなど、見て楽しめる復元になっている。

今回の復元で苦労した点について、中野車両管理所技術課長の増澤富士雄氏は「まず、落書きの落とし。あと、車両がどれだけ痛んでいるのかというのが日々の戦いでした。それと3つ目が材料がない、ということでした」とし、里帰りした4両の内の1両は予備品の車両としても考えているとのこと。

また、里帰りの目的である「技術教育の充実」についてだが、常務取締役(車両部担当)の留岡正男氏は「今の車両は主に制御装置とかブレーキ装置とか、主にマイコンで動くんです。ですので、本当の電車の原理がわからなくてもメンテナンスができてしまう。でも、こういった車は電気の流れがわからないとメンテナンスができない。逆に言うと、電気の流れがスイッチの動きで目でわかるんです。そういうところから電車の基本を学んでもらい、それによって今の電車があるんだということを若い人に認識してもらいたい」と意義を説明。

「ほかの車両でもそうした目的は果たせるのでは?」という追及にも、「この車両は戦後のエポックメイキング的な車両なんです。近代車両の幕開けと言いますか。それが今までアルゼンチンのほうで丁寧に修理しながら使ってもらったということで、文化遺産の保存という面もかねていますので、一挙両得と考えております」とした。

「丸ノ内線500形車両」は、最終的には自力走行できる状態にまで復元され、今後イベントなどで一般公開されるが、留岡氏は「技術的には難しいが、一度は走らせたい」とも述べており、もしかしたら実際に乗車できる日も訪れるかもしれない。楽しみにして待つことにしよう。

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