ハードロック社のカジノ、日本市場での戦略

2017/11/14 20:36 Written by Narinari.com編集部

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ハードロックカフェ、ハードロックホテルなどを展開するハードロック・インターナショナル(以下ハードロック社)の日本法人、ハードロック・ジャパンが11月13日、横浜アリーナ内のVIPラウンジにて記者説明会を開催。日本国内初の「IR」設置へ向け、日本における今後の戦略について明かした。

「IR」とは地方自治体の申請にもとづき、カジノの併設を認める区域を指定して設置される、ホテルや映画館、レストラン、バー、ショッピングなどの施設を含む統合型リゾートのこと。ハードロック・インターナショナルは現在、世界74か国で170軒以上のカフェ、20軒以上のホテル、10軒以上のカジノ施設を運営しており、そうした経験・実績により培われたノウハウを武器に、日本の「IR」開発におけるプレゼンスの向上を推進している。

ハードロック社が競合他社と異なる点は、非上場企業であり、決して“株主至上主義”ではないこと。利益を過剰に追い求める必要がないのと、健全な財務状況を誇っていることから、さまざまなチャリティ活動にも資金提供を行なっており、仮に日本に「IR」をオープンしたさいには、懸念される“ギャンブル依存症”への対策、資金提供などを積極的に行う姿勢だ。

また、同社の強みは「音楽」にあり、のべ3万5000件の音楽イベントを各地で開催してきた実績から、これまでなかなか呼べなかった大物ミュージシャンの来日公演実現にも期待がかかる。実際、この日、記者説明会が行われた横浜アリーナではイギリスのロックバンド「MUSE」のライブが開催されていたが、本公演の協賛をつとめたのがほかでもないハードロック・ジャパンだ。もちろん、同社としては海外だけでなく、日本の文化人やタレント、ミュージシャンともコラボレーションしていく予定で、カジノに興味がない人でも十分楽しめるさまざまなエンターテインメントを提供していく考えだ。

ハードロック・ジャパンCEOのエドワード・トレーシー氏は「私たちはまず、“DNAの精神”としてエンターテインメント企業です。それが第一です。第二にカジノ企業であるわけです。しかし、競合他社はまずカジノが一番です。必ずしもエンターテインメントを優先しているわけではありません。また、私たちには日本で30年以上の経験もあります。だからこそ、今回のようにMUSEの来日公演を実現させることができたのです。ですから、将来的にはU2であったり、ブルース・スプリングスティーンといった大物のアーティストを招くことも可能です」と断言。カジノと一緒に「ベストなエンターテインメントを日本に持ってくる」と豪語した。

現在、日本の「IR」市場への参入意思を表明しているのは、同社以外にもラスベガス・サンズ(アメリカ)、MGMリゾーツ・インターナショナル(アメリカ)、メルコリゾート&エンターテインメント(マカオ)、ウィン・リゾーツ(アメリカ)、ギャラクシーエンターテインメント(マカオ)など数多くあるが、それぞれの施設にはそれぞれの特長・魅力があるのも確か。実際にカジノが日本にオープンするのはまだまだ先の話になりそうだが、今後より具体化していくであろう各社の“魅惑的なプラン”を比較するだけでも楽しめそうな、そんな思いを抱かせてくれる説明会となった。

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