今年のカンヌ国際映画祭まとめ、ケン・ローチ監督が2度目の最高賞。

2016/05/24 04:14 Written by Narinari.com編集部

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ケン・ローチ監督が5月22日(日)、2006年の「麦の穂をゆらす風」以来10年ぶりの新作「アイ・ダニエル・ブレイク」で、カンヌ国際映画祭歴代8人目となる2度目のパルム・ドール賞受賞者となった。

コメディアンのデイブ・ジョンズが主演を務めた同作は、妻を失い、心臓発作の影響で働くことも困難な状況を強いられているが、政府から援助を得ることも出来ないイングランド北部に暮らす中年男性の姿を追ったストーリーとなっている。

同映画祭の審査員たちは「頑張り屋と怠け者」という嘲笑的な対比が横行する現代のイギリスで、鉄条網に囲まれたかのような福祉行政の無人地帯に迷い込んでしまったキャラクターたちの描写を高く評価した。

メル・ギブソンからトロフィーを受け取ったローチ監督は、その受賞スピーチの中で「緊縮経済における危険な政策」について苦言。「私たちは希望のメッセージを伝えなくてはなりません。こんな世界ではなくてもいいのだと」「私たちが暮らしている現代社会は危険な状態です。新自由主義という考え方によって引き起こされた緊縮経済における危険な政策に支配され、私たちの生活に大惨事をもたらされています」と語った。

そして同映画祭の今年のグランプリには、グザヴィエ・ドラン監督の新作「イッツ・オンリー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」を選出。

審査員賞にはアンドレア・アーノルド監督の「アメリカン・ハニー」、女優賞には「マ・ローザ」のジャクリン・ホセが選ばれた。「ザ・セールスマン」はアスガル・ファルハーディーが脚本賞を受賞し、主演を務めたシャハブ・ホセイニが男優賞を獲得している。

監督賞には「グラデュエーション」のクリスティアン・ムンジウ監督、「パーソナル・ショッパー」のオリヴィエ・アサイヤス監督が輝いた。


☆2016年度カンヌ国際映画祭 受賞リスト

パルム・ドール:ケン・ローチ『アイ・ダニエル・ブレイク』
グランプリ:グザヴィエ・ドラン『イッツ・オンリー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』
監督賞:クリスティアン・ムンジウ監督『グラデュエーション』
監督賞:、オリヴィエ・アサイヤス監督『パーソナル・ショッパー』
脚本賞:アスガル・ファルハーディー『ザ・セールスマン』
女優賞:ジャクリン・ホセ『マ・ローザ』
男優賞:シャハブ・ホセイニ『ザ・セールスマン』
審査員賞:アンドレア・アーノルド監督『アメリカン・ハニー』

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