無差別殺人犯の家族描く衝撃作、三浦友和主演で「葛城事件」映画化。

2015/10/12 05:00 Written by Narinari.com編集部

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劇団「THE SHAMPOO HAT」の同名舞台を、俳優の三浦友和(63歳)主演で映画化した「葛城事件」が、2016年に公開されることが決定した。

本作は、2013年に「THE SHAMPOO HAT」で公演され、新井浩文らの客演で話題を呼んだ舞台で、今回の映画化にあたり新たに改稿した作品。無差別殺人事件を起こした加害者、その父、母、兄、そして加害者と獄中結婚をした女……と、壮絶な家族模様が展開される。劇団の旗揚げ以来、全作品の作・演出・出演を担当してきた赤堀雅秋監督が描く登場人物はどの人物も自己矛盾を起こし、多面的で複雑な感情を合わせ持っており、葛藤を抱えながらも、それでも生きていく、その姿を丁寧に描き出していく。

主人公の葛城清役には、「清役は三浦さん以外に考えられない」という監督からの熱望を受け、三浦の主演が決定。そのほか徐々に精神を病んでいく母親・伸子役に南果歩、兄の保役には、舞台版「葛城事件」では別の役を演じた新井浩文らが出演し、それぞれが問題を抱えながらいつの間にか歯車が狂ってしまった家族を演じている。

各出演者のコメントは次の通り。


☆三浦友和(葛城清役/死刑囚・稔の父。父親の代からの小さな金物屋を営む)

最初に脚本を読んでみて素直に面白いなと、こういう作品はなかなかないと思いますし、出演している全員のキャラクターの個性がはっきりとしていて、それぞれがみんな何かを抱えていて、そういうところが一番面白かったです。撮影期間も短く、時間のないなかで演じていくには相当キツイ仕事になるのではないかと、少し躊躇はしてしまいましたが、これをやらないと後悔することになるし、この役を他の人が演じるということを想像したくなかったので、やらせていただきました。演じてみてすごく難しかったです。監督の頭の中ではイメージが明確に固まっていました。そこに近づけなければいけなかったですし、そのイメージに到達するまで時間がかかりました。自分としては悔いが残るシーンがいくつかあったりはしますが、監督がOKを出してくれたので、そこを信じたいなと今は思います。
(清という人物は)ありがちな父親像ですね、特別な人格でもない。ちょっと間違えるとこういうかたちになるだろうし、少しだけ歯車が狂ってしまった、そういう家庭です。親ってどうやって子供に対して愛情を注いだら正解なのかは、永遠のテーマでしょうね。
赤堀監督はものすごく想いが強いです。貪欲ですし、現場でも何度もテイクを重ねて、後で「何回もすみません」と謝りに来てくれましたが、現場で躊躇しない監督の姿が好きでした。それに答えられたかどうかはわかりませんが、素敵な監督でした。


☆南果歩(葛城伸子役/清の妻。専業主婦)

葛城家のなかで過ごす時間は、息をするのも辛くなる場面が沢山ありました。“家族”という、一番身近な人間関係をどう作っていくかという部分では、家族の危うさや、恐ろしさ、やるせなさ、そしてそこにある人肌を感じながら、「身近にいる家族とは一体何なのか」ということをずっと考え続けた時間でした。
演じたどのシーンも印象的で、全て難しかったです。赤堀監督の、人間の心を単色で表現することはできないと言う誠実で挑戦的な演出は、今後の私の仕事の中でもずっと生き続けることになると思います。この役を演じることができて、現場に呼んで頂いて感謝しています。


☆新井浩文(葛城保役/長男。広告代理店に就職するもリストラされる)

舞台とは別の役をもらって演じる。俳優っぽいなーと思ってました。


☆若葉竜也(葛城稔役/次男。通り魔的に8人を殺傷。死刑囚)

こんなにも不器用で、目を背けたくなるほど生々しく、笑ってしまうほどカッコ悪い人間達。圧倒的な脚本の面白さに興奮しました。それと同時に「葛城稔という人間を、理解できるんだろうか」とプレッシャーと不安を感じました。何度も何度も何度も監督に「違う。そうじゃない」「まだ頭で考えてる」と言われながら自分を徹底的に崩壊させて1カット1カット挑みました。「OK!」と監督が声をあげるテイクは必ず、「記憶がすっ飛んでいる」という不思議体験もしました。
魂の篭った映画になっています。是非たくさんの方々に観ていただきたい作品です。


☆監督・脚本 赤堀雅秋

この物語は、対岸の火事ではなく、我々の地続きにある。ある家族の話。無様に、愚かに、それでも必死に生きる人間の姿。観客の心を強く揺さぶる作品になるという自負があります。
極めておこがましい言い草ですが、これは三浦友和さんの代表作になると、僕自身は勝手にそう思ってます。強くそう思ってます。

映画「葛城事件」は2016年、全国ロードショー。

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