英国で暮らす92歳のアイリーンさんとその友人で75歳のマーガレットさんは、お店でランチを食べながら楽しい午後のひとときを過ごしていた。ランチでの井戸端会議が盛り上がっていく中で、フェンスの裏から「見るからに悪そうな」男性がその様子をうかがっていたという。

野球帽を反対側にかぶった男性はそのままテーブルへと近づき、最初はマーガレットさんの手を握りつけ、更に鞄の中から財布をひったくった。その動作は乱暴にして迅速。悪意のこもった黒い目に射すくめられた衝撃にマーガレットさんはその時のことを全く思い出せないと後に語る。唯一覚えていたのはアイリーンさんが発した「ダメ！ おやめなさい！！」という声だけだった。

声を発したアイリーンさんも、その時のことはかなりぼやけているという。一番はっきりしている記憶はスクーターのアクセルを目一杯回したこと。

「私は年を取ってはいるけれどまだまだ動きは速いわよ。走って逃げていく泥棒は、私の追いかける声に怯えていたかもしれないわね」

スクーターはどんどんスピードを上げて泥棒へと近づき、アイリーンさんはスクーターごと体当たり。泥棒は衝撃で地面へと倒れ、御用となった。警察に犯人を引き渡したアイリーンさんはその時のことをこう語る。

「私は戦争も経験したし、爆撃も生き延びたわ。悪いやつに好きなようにはさせません。必要があれば何度だって自分たちのためにやり返します。しないですむことを望んでいますけれどね」

お手柄のアイリーンさんの行動にマーガレットさんはいたく感激しており、「お財布には銀行のカードやいろいろ一式入っていました。本当に泥棒を捕まえることができて幸運です」とのこと。感謝の意を表すために、アイリーンさんとお世話になった警官をお茶会に招き、楽しい午後を過ごしたと伝えられている。

勇敢なアイリーンさんの武勇伝は英メディアSWNSやデイリーメールなど多くの媒体で取り上げられ、大きな反響を呼んだ。読者からのコメントには「感服した！ 行動も言動も素敵で見習いたい」「このようにイギリスは強い女性の宝庫なのだ」「勲章ものの勇敢な行為」と大絶賛の声。多くの人を勇気と活力を与えたようだ。