海。生命の始まりであるその場所は、人を開放的にさせる場所。そんな海をよりナチュラルに感じるために、人は挑戦を続けてきた。ボッティチェリは貝殻の上に立つヴィーナスの裸体を手と長い髪で隠させ、武田久美子はホタテを身にまとい伝説に――。そして今、21世紀には“ロブスター・ビキニ”の時代がやってきたのだ。
世界の多くのメディアが、女優クロエ・セヴィニーの前衛的なファッションに当惑、狼狽している。
芸術とファッションを融合した「Marfa Journal」誌が、アカデミー賞ノミネートなど確かなキャリアを積んだ女優の裸体に薄い黒のコートを羽織らせ、首にはビーズのアクセサリ、そして股間にロブスターを着用した写真を掲載した。
「言葉もない」「アヴァンギャルドすぎる」という一般紙の論調のほか、ファッション誌の媒体、ニューヨーク・マガジンは「ロブスターがとてもシック。きっと香り高いトリュフバターも一緒のはず」、クロエ誌は「なぜロブスターなんだ。ヒトデでも牡蠣でもヒラメでもいいじゃないか。カニはダメだと思うけれど(※crabには毛ジラミの意味もある)」と、完全にうろたえてしまっている。
もちろんネットでも大きな反響があり、「いやだ…もう一度言うよ…いやだ」「ロブスターになりたいと思ったのは初めてだ」「これが芸術である」「クールの一言。思いついてもやれはしない」などなど賛否が渦巻いているようだ。