娘から“ウンチ移植”で肥満化、治療で感染症完治もまさかの副作用。

2015/02/12 18:23 Written by Narinari.com編集部

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クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)という細菌をご存知でしょうか。この菌は健常な人の腸内にも生息していることがあるものですが、抗生物質の投与などでお腹の常在細菌(消化を助ける善玉菌など)のバランスが崩れると大繁殖して、腸炎や下痢などの不快な感染症を引き起こします。これは一定の抗生物質がC.difficileに効果がないために起こるもので、そのため、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症などと同様に、抗生物質を多く使う病院などの施設で発症しやすい感染症です。

このC.difficile感染症の治療には、腸内の細菌バランスを健全な状態に戻すことが大切。そして、その方法として、欧米などではすでに広く使われている方法があります。それは健康な人のウンチを、感染症を持つ人の腸に、胃チューブ、または浣腸カテーテルを使って「移植」するという、ちょっと(かなり)ギョッとするような治療法なのです。ちなみに、この治療法を試す場合、そのウンチを提供してもらうのは家族からが多いそう。たしかに赤の他人から貰うよりは、身近な人のブツのほうが安心するのかもしれません。

さてその「ウンチ移植」ですが、先日、この治療法の副作用として、興味深い臨床報告がされました。

医療ジャーナル Open Forum Infectious Diseases に報告されたこのケースでは、C.difficile感染症に悩む30代の女性が、娘さんから提供されたウンチを使った移植治療を行ったところ、感染症は治ったものの、その後どんどん体重が増えてしまい、3年間で34パウンド(約15キロ)も太ってしまったそうです。

女性はもともとはスレンダーな体型でしたが、娘さんは以前から肥満体型だったそう。どうやら娘さんの腸内細菌には何らかの「体を太らせてしまう」作用があったらしく、それが女性の体に影響を引き起こしてしまったのでは、と今回のケースを報告した研究者らは見解を述べています。実際に女性は感染症は治ったものの、治療後から慢性的な便秘に悩まされるようになってしまったそうで、それが肥満の要因のひとつになっているそうです。

肥満体型になってしまった女性は気の毒ではありますが、「娘のウンチをもらってしまったばっかりに……」とネガティブな気持ちになって、それが母娘間の人間関係に悪影響を起こしたりしていないか、そんなことも気になってしまいますね。

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