“演劇界注目”中谷美紀の挑戦、舞台3作品目は「2人の女王の物語」。

2015/01/26 04:37 Written by Narinari.com編集部

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女優の中谷美紀が、神野三鈴と共に、イタリア人女性作家ダーチャ・マライーニが描いた同時代・一つの島に君臨した二人の女王の物語「メアリー・ステュアート」の舞台に挑むことが決定した。

本作は、1990年に宮本亜門演出、麻実れい×白石加代子で上演。その後も上演を繰り返し、2005年にはパルコ劇場にて南果歩×原田美枝子によって上演された。

舞台は、血なまぐさい宗教戦争と華やかなイギリス・ルネサンス文芸の黄金時代である16世紀。その時代に生きたスコットランド女王のメアリー・ステュアートと、イングランド女王のエリザベス1世という、同時代に同じ島の中に生きた二人の女王を描いた作品で、フリードリッヒ・シラーの同名作品の翻案として、イタリア人作家のダーチャ・マライーニが女性の視点からこの二人の女王を主人公に描いた戯曲だ。

この作品の登場人物はメアリー・ステュアートとその乳母、そしてエリザベスとその侍女の4人。しかし、演じるのは2人の女優。メアリーを演じる女優はエリザベスの侍女を、そしてエリザベスを演じる女優はメアリーの乳母を演じる。それはまるで二人の言葉が合わせ鏡のように響き、その姿を映し出す万華鏡のように互いの心に響くと同時に、その哀しみや怒り、女として生まれたがための苦しみや喜びが劇場にこだまする。

中谷は、映画・テレビでの活躍はもちろんのこと、2011年にフランソワ・ジラール演出「猟銃」で初舞台にして、紀伊国屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀女優賞を受賞。そして翌年の三谷幸喜演出「ロスト・イン・ヨンカーズ」では、読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞するという、2本目の舞台にして頂点に立つ快挙を達成している。そんな中谷が舞台の“三作品目”として選んだのが、この「メアリー・ステュアート」。生後6日目でスコットランドの王位を継承し、国や宗教に翻弄されながらも「女」として果敢に生きたメアリー・ステュアートに挑む。

一方、メアリー・ステュアートと同時代に生き、政治にまつわる男女間の諍いを嫌い、「国家」と結婚をした“ヴァージン・クイーン”エリザベス1世を演じるのは、中谷が今、もっとも共演したかったという神野。井上ひさし作品に欠かすことのできない女優として活躍し、2012年には三谷幸喜演出「三谷版 桜の園」、栗山民也演出「組曲虐殺」での演技により紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞している。

この二人の女優が繰り広げる二人の女王の物語は見ごたえのある、熱く、そしてスリリングな舞台なること間違いなしだ。


☆メアリー・ステュアート役 中谷美紀コメント

今回はステージの上にはたった二人だけですから、掛け合いの妙をお客様に楽しんでいただくためには、寸分の隙も許されません。大変な作品と出会ってしまったというのが今の正直な気持ちです。
女王というポジションは、われわれ市井の人間とは異なった特殊なもの。とはいえ、女性が人の上に立つということでいえば、会社を営んだり、あるいは部署を司ったりということで、彼女と同じ立場にいる女性も多いと思います。そしてその中で、自分の意志だけではなにも決められない、という経験のある方も少なくないのでは。そのもどかしさは、メアリーと現代の女性たちが共通して感じる部分だと思っています。
メアリーは、人の上に立つ者であるにもかかわらず、感情に流されやすく愚かな部分もあって、そこが魅力的でもある人物です。エリザベスのように冷静で、自制心をもって国を治める人間と異なり、彼女はその場の感情に流されている。その二人の対比を楽しんでいただきたいですし、対照的でありながら、ともに気高い女王たちの物語を全身全霊で演じたいと思っています。

☆エリザベス1世役 神野三鈴コメント

中谷さんと一緒に二人芝居を、という話をいただき、しかもそれが『メアリー・ステュアート』。演劇史に残るような作品を、大好きな女優さんとご一緒できるなんて奇跡のようです。二人だけで、純粋に作品に取り組む環境を作っていただき、演劇を志した頃の夢が叶いました。
私たちはみんな、なにかの役割を演じて生きている。その中で常に選択をし続けなければいけないという部分があると思います。また、その選択に対する覚悟も求められる。この作品では、その一つひとつにもがき苦しむ人間の姿を描きたいですし、彼女たちが女性ゆえに豊かになれたこと、踏みにじられたことの両方が浮かび上がると思います。
また、エリザベスの人生を演じることで、彼女が抱くものを昇華させてあげられたら、それが、私たちすべての女性の中にあるなにかを昇華させることに繋がったらうれしい。
そして、女性ならではの苦しみや幸福、葛藤を一緒に感じていただければ。舞台という生身の人間が立つ場で、中谷さんと私が魂でぶつかり合う姿を見届けていただけたら幸せです。


☆公演日程

[東京公演]2015年6月13日(土)〜7月5日(日) パルコ劇場
[大阪公演]2015年7月11日(土)〜7月12日(日) シアター・ドラマシティ
[広島公演]2015年7月15日(水) 広島アステールプラザ・大ホール
[名古屋公演]2015年7月18日(土)〜19日(日) ウインクあいち
[新潟公演]2015年7月24日(金) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館


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