クジラの睾丸で作ったビール、乾いた羊の糞で燻して香り付けに。

2015/01/19 18:38 Written by Narinari.com編集部

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より美味しく、より新しく――美食の世界は日進月歩。常に進化し続けようとするのはビールの醸造者の世界でも同じようだ。世の中にはこれまでにも牡蠣や魚の浮き袋を使用し、燻されたスタウト(黒くなるまでローストした大麦)で作られたビールがあるそうだが、アイスランドで新たに販売されるビールもまた、いろいろ話題となっている。

アイスランド紙Visirなどによると、同国のステジ社が使用しているのはナガスクジラの睾丸。アイスランドのピュアな水に、ヴァイキングの時代から伝わる軽く塩漬けした睾丸を、乾いた羊の糞で燻してビールの香りづけにするという。木の少ないアイスランド独特の燃料と、愛し続けてきた鯨が融合を果たしたとのことだ。

食品安全委員会による販売禁止命令があったものの、その数日後に農水産大臣が直々に許可し、試験的に出荷された5,000リットルの睾丸ビールは1週間で完売。この結果を受けて1月23日、アイスランドにとって重要な「ソーリ月」の祝祭に合わせて、正式に販売される運びとなった。「誰もが幸せに、そして祝祭の気分が味わえるようになるはず」と醸造者も満足そうだ。

しかし、このビールに対しては厳しい論調も寄せられている。「マーケティングのために生命の最も重要な部分を使用することは、絶滅の危機に瀕している美しい生き物に対しての侮辱である」と、レッドリストに記載されている絶滅危惧種のナガスクジラを使用することに、保護の観点から問題視する声も。

一方で、醸造者は北大西洋のナガスクジラは絶滅の危険にさらされていないという研究結果を基に反論。「アイスランド当局によって統御され、強い責任感を持った自己持続可能な漁業が行われている」とコメントしている。

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