米国で7月10日、様子のおかしい2匹の犬が、住民の通報で警察に保護された。それは、あてもなさそうに徘徊していた大きなピットブルと、口に咥えられた小さなチワワ。しかし、彼らは敵対関係にあったわけではなく、むしろときどき口からチワワを降ろしていたピットブルが、感染症を患ったチワワの左目を舐めて気遣う素振りを見せるなど、助け合って生きていた野良犬同士だった。やがて、付近の住民から連絡を受けた警察官が、2匹を署内にある動物保護施設へ移送。後日、警察のFacebookで紹介されたことをきっかけに、仲良しな彼らの存在は米国で大きな話題になった。
米放送局ABCや米紙アトランタ・ジャーナルコンスティトゥーションなどによると、話題の2匹は、ジョージア州サバンナの住民宅の庭で保護されたという、ジョニーとチャチ。その日、「体重約30キロ」(米紙サバンナ・モーニングニュース)と大きなメスのラブラドール・ピットブルミックス犬ジョニーは、約4キロと小さなオスのロングヘア・チワワミックスのチャチを咥えながら住宅の庭に入ったところを、住民の連絡で駆け付けた警察官に保護されたそうだ。
この女性住民の話では、連絡する前から周辺の路上を「歩き回っていた」というジョニーとチャチ。ただ女性は、ジョニーがときどき口に咥え続けていたチャチを路上に降ろし、「痛みを和らげようとするように」感染症を患っていたチャチの左目を舐める動作を目撃して、野良犬に見えた2匹の環境を案じ、警察に連絡したようだ。そして連絡を受けた地元警察は、女性宅の庭に入り込んだ2匹を無事に保護。警察署内にある、動物保護施設に収容したという。
その後、チャチの左目は深刻な状態と診断され、視力を失っていただけでなく、「激しい痛みもあったはず」と獣医は語る。知り合った後、そんな彼の状態に気付いたジョニーは、目の痛みが和らぐようにと舐めるなどして気遣い、移動する必要があるとなれば、口に咥えて一緒に連れ歩くようになったようだ。
残念ながら、収容してすぐに行われた手術では改善に導くような処置はできなかったそうだが、手術から5日間離れ離れの時間を過ごした2匹は、チャチの体力が回復した5日後にやっと顔を合わせると、寄り添って互いの体を舐めあうなどして、再会を喜び会っていたという。
そして、今後面倒を見てくれる引き取り手も見つけたかった警察は、Facebookに7月19日付で“感動的な再会”の瞬間を撮影した写真の数々を公開し、2匹を紹介。さらに写真が注目を集めたことで、米メディアでも彼らの話が広く取り上げられ、“特別な絆”で結ばれた2匹は大きな話題を呼んだ。
その甲斐あって、彼らの引き取りに関する問い合わせも少なからず寄せられたそうで、警察は7月23日付の投稿で、8月にもフロリダ州の新しい飼い主に引き渡される予定と報告。ジョニーとチャチには、これからもさらに絆を深め合って、仲良く平穏な時間をできる限り長く一緒に過ごしてもらいたいところだ。