7月9日に、独立から3年目を迎えた“世界で一番新しい国”南スーダンだが、長引く紛争により、アフリカにおいて最も厳しい人道危機が続いている。その南スーダンで、現在コレラの流行により数千万人の子どもたちの命に危険が及んでいるという。

セーブ・ザ・チルドレンによると、5月15日に首都ジュバで最初のコレラの感染が確認されてから、これまでに症例は2,600件、死者は60人以上を出している。特に、南部の東エクアトリア州トリット郡での感染拡大の勢いが増しており、10の州のうち9つの州で感染もしくは警戒が報告されるなど、南スーダン全土への感染が危惧されている状況だ。

コレラ菌は激しい下痢や嘔吐を引き起こすため、感染者は重度の脱水症状に陥り、処置の遅れは死に繋がる。発育過程の子どもは大人よりもコレラ感染による死亡率が高いだけでなく、南スーダンで昨年12月から続く武力紛争の影響で250万人以上の子どもが飢餓状態にあり、病気に対する抵抗力の低下も懸念されている。

この状況について、セーブ・ザ・チルドレン 南スータン カントリー・ディレクターのピート・ウォルシュさんは次のように語っている。

「現場で活動している私たちのスタッフは、新たな感染患者を毎日見つけています。コレラに感染して衰弱しきった子どもを抱えた親が、必死の思いで診療所に駆け込んできます。人々が深刻な飢餓状態にあり、何千人もの人々が定員を大きく超えた不衛生な避難所で生活している中でのコレラの感染拡大は、憂慮すべき事態です。しかしながら、医療サービスを提供できるキャパシティはすでに超えていて、救命物資は全然足りていません。さらに、今後数か月に渡る雨期の大雨によってできる大量の水たまりは、コレラの感染拡大にとって好条件である上に、ぬかるみ道が救命物資や医療を届けるのを非常に困難にするため、状況の悪化が予測されます」

セーブ・ザ・チルドレンは、昨年12月の武力衝突の発生以来、南スーダン全土で緊急人道支援を実施。これまでに4万人の子どもを含む13万人以上の人たちに支援を届けている。コレラの流行に対しては、これ以上感染が拡大しないための教育をコミュニティに施し、南スーダン保健省や他団体と協力しながら医薬品の供給を行っているそうだ。