もし、身内の交通事故現場を目の当たりにしたら、たとえ無事だったとしても、きっとほとんどの人は慌てたり心配したりとなるに違いない。しかし、世の中には目の前の状況に動じることもなく、むしろ楽しんでしまう人もいるようだ。米国のあるおじいちゃんは先日、自宅の前で妻が運転していた車が横転する事故を目にすると、車内に取り残された妻と並ぶように立って写真を撮ったそうで、何とも悠長な彼らの行動が話題を呼んでいる。
米放送局KTLAやNBC系列KNBCなどによると、話題になっているのは、カリフォルニア州ベルエアに住む、87歳のベンジャミン・ニュフェルドさんと85歳のエリザベスさん夫妻。6月20日、夫ベンジャミンさんが自宅のキッチンにいたとき、外で大きな音がしたことに気付いて、家から出たという。すると、目の前で見慣れたブルーの乗用車が運転席側を下にした状態で横転し、中で大人しくしている妻の姿が目に飛び込んできたそうだ。
エリザベスさんの車は、自宅近くで道路の縁石に乗り上げてしまい、そのはずみで横転。大きな音で気が付いて「すでに集まっていた」近所の人たちに近づいていったベンジャミンさんは、最初は車内の妻の状態が「もちろん気になった」そう。ところが、けがをしないで済んだ妻は、車を囲んだ人たちとそのまま車内から「会話していた」ほど元気な状態で、救急車の手配もされて何もすることがなかった夫は、一緒になっておしゃべりの輪の中に加わったという。
そうこうしている間に、ほかにも事故に驚いて、携帯電話のカメラを車に向けている野次馬の存在に気付いたベンジャミンさん。そこで彼は、妻が無事と分かって安心した気持ちを表すように、車内の妻と並ぶように車の横に立ち、向けられたカメラに笑顔で撮影に応じたそうだ。すると、車内の妻からも自分の携帯電話で写真を撮るよう催促されたといい、夫は「(妻は)こんな恥ずかしい状況に陥ることはもうないからと、撮る気になったんだろう」と話す。
かくして、事故に遭った妻と記念撮影をした夫の写真は、地元メディアから全米へと紹介されて大きな話題に。エリザベスさんが無事だったとあって、事故現場で明るく振る舞った2人の姿が、多くの人に驚きとユーモアを感じさせたようだ。
ちなみに、2人は精神的なダメージもほぼ受けずに済んだようで、事故対応が終わった後は仲良く一緒に家に戻り、夕食を食べたという。