50年刻まれた愛のアスファルト、亡き夫が12歳のときに2人の名前記す。

2014/06/27 12:01 Written by Narinari.com編集部

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若い頃の恋愛を振り返ると、大人になった今ではできないような行動もしていた、と思うこともあるだろう。米国のある女性の場合は12歳のとき、後に夫となった彼が、工事したてのアスファルトに2人の名前を刻んでしまい、そのまま50年以上にわたって歩道を利用する大勢の人たちに見られてきたという。しかし最近、その歩道で工事が行われ、アスファルトが張り替えられてしまった。それを知った家族が役所と交渉したところ、夫の残した“2人の名前入り”アスファルトを譲ってもらえることになり、妻を喜ばせたそうだ。

米紙ポスト・アンド・クーリアーによると、思い出のアスファルトを受け取ったのは、サウスカロライナ州マウントプレザントに住むシシー・ヒューイットさん。彼女はまだ12歳だったとき、友だちが開いたパーティーの席で、後に夫となる同い年のデイビッドさんと出会い、すぐに「夢中になった」そうだ。その気持ちは彼も同じで、以来2人は違う学校に通うようになっても休みには会い続け、順調に交際を継続。そして、一緒に入ったサウスカロライナ大学を卒業してすぐ、2人は結婚したという。

学生時代、アメフトの試合に出る時はいつも靴下の中に彼女の写真を忍ばせ、タッチダウンを決めると写真を取り出して見ていたというほど、シシーさん一筋だったというデイビッドさん。そんな彼は彼女と出会って間もない12歳のとき、いまの彼女にとってはとても大事な“愛の証”を公共の場に作った。隣街のチャールストンで行われていた歩道の舗装工事現場に出くわした彼は、敷かれたばかりで柔らかいアスファルトの一部に「デイビッド+シシー」と刻んで2人の愛を表現。そしてアスファルトはそのまま固まり、2人の名前は歩道に残り続けたという。

それから当事者2人はもちろん、多くの市民にも、生まれて来た子どもや孫たちにも見られてきた“愛の証”。幼い頃に初めて見た記憶があるという娘のアンジーさんは、そのとき両親が「12歳でデートしていたのか」と驚いたと話す。しかし、地元を案内するツアーガイドとなった現在、観光客をそこへ連れて行って話をすると喜んでもらえることが多いそうで、少年時代の父が残した“愛の証”は、図らずも娘の仕事を助ける効果も生んだようだ。

そんなアスファルトが、シシーさんにとってより大事なものとなったのは、2008年にデイビッドさんが骨髄腫を患って亡くなってしまったから。そして最近、いつものように仕事で街中を周っていたアンジーさんは、両親の思い出が残る歩道で工事が行われていることに気が付いたという。仕事が終わって再び訪れると、アスファルトが割られ「気が沈んだ」というアンジーさん。しかし、両親の名前が刻まれた箇所は無傷だと分かったため、彼女が役所に出向いてその部分を「引き取れないか」と交渉したところ、あっさり了承してくれたそうだ。

そして歩道の役割を終えた“愛の証”は、シシーさんが暮らす自宅の庭の片隅へ。いまも結婚指輪を外さず、夫を想って寂しく感じる時もあるという彼女だが、毎日アスファルトを眺めては「自分は幸せだ」と感じているという。

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