ももクロに「川上の教え」7つ、名物マネージャー初の書籍誕生の経緯。

2014/06/19 19:01 Written by Narinari.com編集部

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2014年3月、女性グループとして初めて国立競技場でのライブを実現させ、7月26日、27日には日産スタジアムで2日間14万人を動員するライブを予定している、アイドルグループ・ももいろクローバーZ。彼女たちにムチャブリをするマネージャーとして、本人たちにも負けない人気を誇る川上アキラマネージャーが、このたび初めて本を出版した。タイトルは「ももクロ流 5人へ伝えたこと、5人から教わったこと」(日経BP社)。

編集を担当したのは、メンバーと川上マネージャーとの対談「新ももクロ61分3本勝負」を連載している雑誌「日経エンタテインメント!」の山本伸夫副編集長(※連載「新ももクロ61分3本勝負」は、雑誌に掲載できなかった部分を加筆して、本書に収録されている)。そんな山本副編集長に、本書が誕生した経緯、そして見所を聞いた。


――そもそも川上マネージャーの本を作ろうと思ったのはなぜですか?

山本:もともと、日経エンタテインメント!(以下、エンタ)は「ヒットには理由がある」が創刊以来のコンセプトなんです。自分たちでビラを配って、しかもそれをほとんどの人に受けとってもらえなかったという代々木公園の路上ライブから、わずか6年で、国立競技場を満員にするところまで駆け上がった「ももいろクローバーZ」というヒットの「作り方」を、川上マネージャー自身に語ってもらおうと考えたのが始まりです。

 ただ、当初はももクロの「プロデューサー」としての視点を想定していたのですが、この依頼はあっさり断られました。

――なぜ断られたんですか?

山本:理由は「ももクロにプロデューサーはいないから」でした。「じゃあ、川上さんはどんな存在なんですか?」と聞いたら「僕はマネージャーですから」という答えが返ってきたのです。

――プロデューサーとマネージャーの違いとは?

山本:川上さんによればプロデューサーは「企画を作る」のが仕事、マネージャーは「タレントを育てる」のが仕事だそうです。だから川上さんがしているのはももクロというタレントを育てる仕事なんですね。しかも、自分で歌やダンスを教えられるわけではないので、適切なコーチを探してきて、さらに成長するためのハードルを用意してきたというわけです。

 エンタではこれまでいろいろなスタッフを取り上げてきましたが、ここまで「マネージャー」という肩書きにこだわる人はいませんでした。そこでマネージャーという視点からももクロの歴史を振り返ってもらうことにしたんです。

 実は最近、経営者でも「人を育てる」と語る人が増えているんですよ。IT企業のサイバーエージェントも「実力主義型の終身雇用」を目指すと言っていますし、ユニクロの柳井正氏もインタビューで「できるだけ一生勤められるように、今の制度で厳しすぎる部分を変えていこうと思います」と話しています(日経ビジネス2014年3月24日号)。日本全体が「能力のある人達だけを集めてプロジェクトを成功させる」というビジネスモデルから、「一人ひとりを育てていく」路線にシフトしている。川上さんがマネージャーにこだわる姿勢は、そこに通じるものがあると感じました。

――本を読むと、川上さんがさまざまな場面で繰り返し書いている言葉がありますね。

山本:そうなんです。川上マネージャーと話をしていると、繰り返し語られるキーワードがあるのです。そこで本書はそれを「川上の教え」と名付け、それが本人たちにどの程度浸透しているかメンバー全員に確認しています(「第3部 ももクロ全員集合 嵐の大座談会」)。

☆「川上の教え」とは

1.学校と違って芸能界は平等ではない
2.Aクラスとしてトップになるべく事務所に入った人にはある程度のポジションが用意されている。だけど、そうじゃない人は努力が必要だ
3.こちらのほうがクオリティーが高いと思ったら、前と意見が違っても変えたほうがいい
4.ももクロの現場に「できない」という言葉はない
5.タレントのプロデューサーはタレントである
6.結婚しても続けられる、長く活動できるアイドルを育てたい
7.アイドルは最強の存在だと思う
(※本書より抜粋)

――本人たちにも浸透していましたか?

山本:正直、伝わっていることもあれば、あまり伝わっていないこともありました(笑)。メンバーによると「川上さんは人見知りなので、あまり面と向かって説明しない」そうです。そのあたりも面白かったですね。

――では、山本さんが印象に残っている「川上の教え」は?

山本:「イベントは、タレントが家に帰るまでがイベントです」。

 川上さんは、今でもイベントの企画を立てながら、マネージャーとして「イベント当日に食べるごはんをどうするか」「イベントを終えたタレントをどうやって家に帰らせるか」まで考えているそうです。百田夏菜子さんはイベント後に静岡県の実家まで帰ることが多いため、常に会場から東京駅まで何分かかるかを計算しているとも言っていました。

 しかも、いまだに川上さんがクルマを運転して駅や家まで送っているんですよ。そういう話をした後に、改めて「川上の教え」を読むと、川上さんがこだわるマネージャー像が見えてくる気がします。

 実は、本書に載っている対談の中には、川上さんが運転する車にお邪魔した回もありします。実際、車の運転はすごくお上手でした。車の話になると、すごくうれしそうな表情になるんです(笑)。いわく「道路は生き物」だそうです。まだこの本が出来上がる前から、「次はこのテーマで本を書きたいんですよね」と言っていましたから。

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「ももクロ流 5人へ伝えたこと、5人から教わったこと」は6月18日に発売。価格は1,296円(税抜き)。

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