環境省が“福島県で鼻血”否定「住民に鼻血多発は考えられません」。

2014/05/09 00:11 Written by Narinari.com編集部

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環境省は5月8日、小学館のマンガ誌「ビッグコミックスピリッツ」22・23合併号に掲載された「美味しんぼ」(作:雁屋哲)の描写に端を発する、“被ばくと鼻血”問題への関心が高まっていることを受け、公式ホームページに「放射性物質対策に関する不安の声について」と題する文書を掲載した。

それによると、この文書は「東京電力福島第一原子力発電所の事故による被ばくにより、確定的影響の1つとされる疲労感や鼻出血といった症状が多数の住民にあらわれているのではないかとご不安の声をいただきましたので、このような不安による、不当な風評被害が生じることを避けるとともに、福島県内に住んでおられる方々の心情を鑑みて」、環境省としての見解を示したもの。

まず、国連が、これまでの知見に基づき公表した「2011年東日本大震災と津波に伴う原発事故による放射線のレベルと影響評価報告書」(平成26年4月2日公表)で、住民への健康影響について「確定的影響は認められない」としていること。

そして「東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません」と、きっぱりと明言している。

また、放射能の影響で鼻血の誘因となる出血傾向が生じるのは「約500mGy(0.5Gy)より高い被ばく線量」で、「吐き気、嘔吐、脱力感は1000mGy(1Gy)未満では現れないとされています」と説明。

さらに福島県が実施している県民健康調査では、内部被ばく・外部被ばくとも「これまでの科学的知見では『放射線による健康影響があるとは考えにくい』と評価される範囲となっています。疲労感・鼻血といった症状と被ばく量との関係が既に知られているほどの被ばくをされた方は確認されていません」としている(※詳細は環境省ホームページを参照 //www.env.go.jp/chemi/rhm/info_1405-1.html)。

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この問題は、「スピリッツ」22・23合併号に掲載された「福島の真実篇」において、東京電力福島第1原発など福島県を取材のため訪れた主人公・山岡士郎らが鼻血を出す描写があり、これが風評被害を助長するのではないかとの指摘が相次いだもの。

作中では、医師による「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見がありません」とのコメント、山岡の「うっかり関連づけたら大変ですよね」との発言も出てくるが、「福島に行って体調に変化はありませんか?」と質問されるくだりで、山岡が「じつは理由がわからないのに鼻血が出まして…」と語ると、立て続けに「やはり」「山岡さんもだったの!僕も鼻血が止まらなくなった」と声を上げる者が現れ、海原雄山も「む、私も鼻血が出た。福島に行くようになってからひどく疲れやすくなった」などと発言している。

そして前双葉町長の井戸川克隆氏が登場し、「私も鼻血が出ます。今度の立候補を取りやめたのは疲労感が耐え難いまでになったからです」「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と発言するシーンも描かれるなど、ネットを中心に炎上状態となった。

また、5月7日には、福島県双葉町が小学館に対し、「原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」「復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております」と厳重抗議したことを明かした。

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