犬に触れ言葉を思い出した父、認知症で会話ない生活の中での“奇跡”。

2014/05/03 19:33 Written by Narinari.com編集部

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認知症となり、言葉を忘れたかのように会話をしなくなった父。そんな父が娘の愛犬に触れた途端、よどみない口調で優しい声をかけだした――。その様子を撮影した動画がYouTubeに投稿され、大きな反響を呼んでいる。

米放送局ABCなどによると、話題になっているのは4月24日付でYouTubeに投稿された動画「My Dad With Our Dog」(//www.youtube.com/watch?v=4Sl_DGLxm1s)。投稿者でニューメキシコ州在住のリサ・アベイタさんは、この動画を撮影した経緯を自身のブログ「Mama CEO」で説明しており、それによれば、動画に登場する父チャールズ・サッサーさんは4、5年前からアルツハイマー病を患っているのだという。

ここ半年は会話もほとんどしなくなり、「適当な言葉が出てこなくなったようだ」という父。普段は母と一緒に暮らしているそうだが、撮影した4月24日の午後、母に「1時間ほど出かける用事」があったため、娘のアベイタさんが父を自宅に呼んで、しばらく一緒に過ごすことになったそうだ。  

いざ父親を家に連れてくると、彼女の愛犬ロスコーが玄関で父を出迎え、その後も父に愛想を振りまいていたという。そしてアベイタさんは、ロスコーに対して父が思いがけない行動を取り始めたことに気が付き、慌てて撮影を始めた。

それが、話題となっている約1分半の動画。尻尾を振ってそばに寄って来るロスコーの体に手を置きながら、父サッサーさんが「何を持ってきたんだ?」などと優しく声を掛けている様子が映されている。家族にとっては、最近の父の様子からして自然に言葉を発していることが奇跡に近い出来事だったようで、大事な瞬間を母にも見せたいと、アベイタさんは慌ててカメラを用意し、父が話している姿を映像に残したそうだ。

その後、アベイタさんは母や知人たちだけでなく、認知症の家族がいるほかの人たちとも嬉しい気持ちを「共有したい」と、撮影した動画をYouTubeや米ソーシャルサイトのredditに投稿し紹介。すると、多くの欧米メディアで紹介されて大きな注目を集め、動画の再生回数は約445万回(5月2日現在)に達しているほか、感動や激励の声を寄せるメールも、彼女の元に多数届いているという。

ちなみに、動画の最後には「あなたが両親とまだ話せるなら、声を聞いてください。いつが最後になるかは決して分からないから」とのメッセージが表示される。アベイタさんが今回の出来事で一番痛感した想いなのかもしれない。

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