4月下旬、ある英国人男性は、ニュージーランド北島と南島に挟まれたクック海峡を泳いで渡る挑戦をしていた。その最中、泳いでいた彼の下にサメが出現。不安に襲われたそうだが、そのときどこからともなくイルカの群れが現れ、周りをガードするかのように彼を囲み、サメの接近を阻んでくれたという。しばらく並走して泳ぐなど思いがけない経験もできた彼は、海峡横断も無事に成功させた。
英紙デイリー・レコードやニュージーランド放送局TVNZなどによると、遠泳中にイルカから守られたのは、英ノッティンガムから訪れていたアダム・ウォーカーさん。4月22日、彼は北島のウェリントンから南島北東部の島にあるペラノヘッドまで、およそ16マイル(約26キロ)の距離を泳いで渡る挑戦を行った。結果的に8時間36分をかけて見事泳ぎ切った彼は、今回の挑戦で成功の実績を手に入れただけでなく、貴重な思い出も作ることができたという。
大海原で波にもまれながら必死で泳いでいたところ、下のほうに体長2メートルほどのサメがいることに気が付いたウォーカーさん。泳ぎ続けながらも気になった彼は、不測の事態が起きかねないとあって「心配になり始めた」そうだが、そのとき突然「どこからともなく」彼の周りに思わぬ“ガードマン”たちが現れた。やってきたのは10頭ほどのイルカの群れ。彼を囲むように泳ぎ始めると、近くにいたサメもいつしか離れていき、その後は安心して挑戦に臨めたようだ。
そのときの様子を紹介したのが、4月23日付でYouTubeに投稿された動画「Swimming with Dolphins, Adam Walker - Cook Strait」(//www.youtube.com/watch?v=Ohsg1XI6KdI)。スピードを合わせて付き添うように、時折彼の周りの海面から姿を覗かせるイルカたちの存在が分かる。群れは約1時間ほど彼のそばにい続けたそうで、日本の津軽海峡など世界各地の海峡を泳いできたという彼でも、この1時間は「不思議な経験だった」と振り返っている。
もともとイルカは子どものような弱い仲間を守る際に「群れでサメを攻撃する」ことがあるとされ、今回は偶然出会った群れが、サメの近くにいたウォーカーさんを守ろうとしてくれたのかもしれない。彼自身は群れからそうした気持ちを感じ取っていたようで、「自分たちの庭を案内してくれているように思えた」と語っている。