どんなに急いでいたとしても、遮断機の降りた踏切の中に入るのは言語道断。列車が通過する前に渡り切れると思う前に、万が一でも自分の命を落とす可能性や、列車を利用する多くの人たちの迷惑になるような結果を引き起こしかねない行動だと自覚するべきだ。チェコでは最近、遮断機をくぐった77歳の男性が引き起こした“あわや”の事故があったそうで、警察は国民の注意を促す意味で、あえて撮影した監視カメラの映像を公開した。そこに映されていたのは、あまりに間一髪すぎる事故の瞬間。これが欧米メディアの間でも大きな話題になっている。
チェコのニュースサイト・Denik.czによると、問題の事故は4月15日、チェコ南東部にあるラーイェツ=イェストジェビー村の踏切で発生した。77歳の男性が遮断機をくぐって踏切の中に入り、渡り切る直前で走って来た列車と接触する事故を起こしたという。後日、広く危機意識を高める意味も込めて、警察は事故の瞬間を撮影した映像を公開した。
その映像が、4月18日付でYouTubeに投稿された動画(//www.youtube.com/watch?v=9gsbPLCBa8s)。踏切に近づいてきた問題の男性は、遮断機が降りきると、脇をすり抜けて踏切の中へと入っている。そして一旦立ち止まった男性だったが、待ちきれないかのように4本の線路が走る踏切を横断し始め、やがて近づく列車に気付いて小走りに。しかし、3本目の線路を通り過ぎようとした瞬間、走って来た電車と接触し転倒し、弾みで靴が踏切の外まで飛ばされていることが分かる。
幸い、男性は軽いかすり傷のみで済んだそうで、至って無事。ところが、立ち上がって動揺した様子を見せる男性に対し、間近で事故を見ていたはずの車のドライバーたちは何事もなかったかのように、男性を助けることもなく颯爽と遮断機が上がった踏切を通り過ぎていってしまう。
結局映像の最後になって、やっとの思いで渡り切って息をついている男性が、ようやく通りがかったバイクの人から声を掛けられており、映像に心ない対応をした人が多く映っていた事実も、警察が公開を決断した1つの要因になったようだ。
この映像は、男性が「奇跡的に軽いけがで済んだ」(英紙デイリー・テレグラフより)瞬間の映像として、チェコ国内だけでなく欧米メディアでも広く紹介され、大きな話題になっている。無理に渡ろうとして「2,500コルナ(約1万3,000円)の罰金を科される可能性がある」(英放送局BBCより)男性のみならず、「助ける気がなかった」と警察に問題視された周囲の人たちも、思いがけず映像が注目を集めたことで、恥ずかしい思いをしているのかもしれない。