「生存は奇跡」決死のハワイ旅、本土から航空機の車輪格納庫に隠れる。

2014/04/24 15:22 Written by Narinari.com編集部

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日本人観光客も多く訪れるハワイ・マウイ島のカフルイ空港内で4月20日、意識混濁状態の少年が飛行機の車輪格納庫から出て来たところを空港関係者に発見され、保護された。カリフォルニア州に住む15歳の少年は前日に家を飛び出し、夜間に同州サンノゼ国際空港に侵入。翌朝に出発する飛行機の車輪格納庫に隠れ、マウイ島までの5時間半の飛行に耐えて助かったとされ、米国では助かったのが奇跡的と今回のケースが大きな話題になっており、一方で侵入を許した空港側も経緯の調査を進めている。

米放送局ABCや米紙サンノゼ・マーキュリーニュースなどによると、この事件は4月20日昼頃、カフルイ空港で離陸準備を進めていたハワイアン航空の飛行機近くで、滑走路上を歩いていた少年を空港関係者が発見し発覚。少年はカリフォルニア州サンタクララに住む15歳の男の子で、前日の19日に家で両親とけんかをして家を飛び出した後、夜にサンノゼ国際空港の敷地内に侵入し、近くに停まっていたハワイアン航空機の左後輪の格納庫に隠れていたそうだ。

そして翌朝午前7時55分、ハワイアン航空機は彼が隠れているのに気付かないまま、サンノゼからマウイ島へ向け出発。飛行機は5時間半をかけ、最高3万8,000フィート(約1万1,600メートル)もの高度に達しながら飛び続け、ハワイ現地時間午前10時30分頃に到着したという。それから1時間後、別の目的地へ向けて飛行機の搭乗手続きが進められる最中、少年は意識が混濁した状態で格納庫から滑走路へと降り、直後に空港関係者が見つけて保護されたそうだ。発見された直後は衰弱した様子だったものの、少年は与えられた食事やクッキーなどを食べるなど元気で、FBI(米連邦捜査局)の事情聴取にも応じたとされている。

助かった少年に対し、「酸素も供給されずに5時間も3万5,000フィート(約1万700メートル)上空を飛んで助かったというのは信じられない」と話すのは米国の航空専門家。また別の医学博士は、氷点下60度ほどにもなる高度を体が耐え続けるには、「1分に2回の脈を打つくらい」の冬眠状態にならなければ生き残らないと説明している。しかし、人間がそうした状態に陥るのはあまり考えられないため、この医学博士は彼が助かったのは「奇跡的」との見解を示したそうだ。

密航などを企てて飛行機の格納庫などに隠れ、目的地を目指した人の話は以前からたびたび聞かれるように思われるが、FAA(米連保航空局)の話では、1947年から今回の事件までの間に世界中で94機に同じような事例が報告されているとのこと。全部で105人が危険なフライトに臨み、そのうち生き残ったのは25人で、80人は死亡したとされ、客室ではない場所に入り込んで空を飛ぶのが、いかに危険なのかがよく分かる。

それほどの状況を耐え抜き、大きな健康被害も見られなかったという少年。現在は、罪に問わないとの判断を下したFBIから事情聴取後に釈放され、現地の児童保護施設に引き渡されたという。

一方、少年の話が大きな話題になった結果、必然的に多くの人の関心を高めたのがサンノゼ国際空港の警備体制。空港スポークスマンは、常に運輸保安局や警察と連絡を取り合い「米連邦法に定められる全てのセキュリティ基準を上回っている」と釈明した。しかし、同時に現在の管理体制が「100%完全ではない」とも認めていて、少年が侵入した当時の監視カメラ映像の検証など調査も進めているとされ、今後さらなる対策を講じる必要性にも迫られそうだ。

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