先日、中国の微博(中国版ツイッター)にひとりの老人の写真が掲載され、多くのネットユーザーの感動を誘った。それは子羊の命を救おうと必死に人工呼吸している姿。老人が幼い孫の将来を憂い、学費の足しにしようと子羊を購入してきた矢先の出来事だったという。
中国メディア華商網などによると、この一件が広く知れ渡ることになったのは3月24日、「林世有」というユーザーが微博に数枚の写真を投稿したことがきっかけだ。「老人が子羊に人工呼吸する」という説明書きとともに掲載されたそれらの写真には、悲壮な顔をした老人が子羊を抱えて人工呼吸している姿、地べたに横たわる子羊を寂しそうに眺めている姿が写し出されており、老人に哀れみを感じたネットユーザーの間で大きな関心を呼び起こすことになった。
地元メディアが調査したところ、「林世有」というユーザーから提供された情報から、老人は72歳の宋さんであることが判明する。「林世有」と宋さんは家が近所で顔見知りであったことから、現場にも居合わせていたようだ。
気になるのはいったいなぜ宋さんが子羊に人工呼吸をしていたのかだが、昨年、息子が病気で亡くなり、宋さんのもとには幼い孫がひとり残されていた。宋さんは高齢で仕事もあまりできない状況から、3月23日、子羊を育てて将来的に孫の学費に当てようと決心。しかし、あろうことかその子羊は翌日には体調を崩し、息も絶え絶えの状態に陥ってしまう。宋さんは耳が悪く、子羊の鳴き声に気付くのが遅れてしまったことも原因のひとつだった。
宋さんは24日午前10時ごろ、瀕死の状態の子羊を発見し、すぐに薬を飲ませたり、人工呼吸したりと必死に蘇生を試みるが、時すでに遅し。子羊はそのまま息絶えてしまった。宋さんはしばらく子羊を抱えた状態のまま動けず、この時の一連の流れが「林世有」に撮影され、微博に投稿されたというわけだ。
なお、同報道によれば、宋さんの不幸を知った人々によってすでに募金活動なども開始されているという。