“体から魚の腐臭”に悩む女性、多くの人に認知して欲しいと勇気の告白。

2014/04/11 19:16 Written by ナリナリ編集部

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トリメチルアミン尿症、俗に“魚臭症候群”とも呼ばれる体の疾患をご存知だろうか。代謝障害が原因で、通常体内で分解されるトリメチルアミンという物質が溜まってしまい、呼吸や汗などで放出されることによって、魚が腐ったような臭いを発してしまう症状だ。一般的に女性の患者が多いとされ、あまり知られていない影響から周囲に「体臭がきつい人」との誤解を受け、悲しい思いをする人も少なくないという。このほど、長年この問題に悩み続けて来た英国の女性が「多くの人に実情を伝えたい」と声を上げ、英国で注目を集めているようだ。

英紙デイリー・ミラーや英放送局BBCなどによると、この女性は英南部の街アビンドンに住む44歳の女性、エリー・ジェームズさん。彼女は30歳になった14年前、初めて自分の体に異変が起きたことに気が付いた。ごく普通に清潔な生活を送っていたにも関わらず、なぜか激しい「魚が腐ったような」体臭を発するようになったのだ。バスに乗っては周りの乗客に鼻をつままれ、中には彼女に気付いて空気清浄機を置いた運転手も。当時勤めていた会社では周りで陰口を言われるようになった上、クリスマスのプレゼント交換会ではこぞって石鹸や香水、制汗剤を渡される仕打ちを受け、「大笑い」する仲間たちに耐えられず、逃げ出して涙を流した経験もあったという。

周囲からのプレッシャーに耐え続ける毎日に、毎晩仕事から帰って来ては泣いていたといおうジェームズさん。何とか臭いを抑えようと、原因が分かる前は最低でも「1日に5回はお風呂に入っていた」。それでも改善しないと自分の体臭が気になりすぎて、毎朝起きるとキッチン用洗剤で肌を「赤いすり傷ができるくらいまで」こすり洗いするほど、深く思い詰めるようになった。そんな生活を5年続けた末、悩み続けた彼女はやっと自分の状態を診てもらおうと病院へ向かったそうだ。

ところが、正確な原因を見つけられなかった最初の医者から「衛生状態を保つ体の洗い方」を教えられ、「恥ずかしい思いをした」だけで悩みは晴れなかった。それでも問題は一向に解決しなかったため、1年後に再び勇気を出して別の医者に相談。その後、彼女も一緒になって原因を探っているうち、インターネットで魚臭症候群に悩む人たちのフォーラムを発見。やっと答えを見つけた彼女は、紹介された内分泌科医の指導を受け、食生活や衛生管理の指導などを受けつつ、抗生物質を投与するなどして改善を図り、現在では恋人も見つけ、平穏な生活を送っているという。

ジェームズさんの体に起きていた魚臭症候群、つまりトリメチルアミン尿症とは、摂取した食べ物を消化する際に発生するトリメチルアミンが、体内で分解されない代謝障害が原因で発生。溜まったトリメチルアミンは呼吸や汗、尿などに含まれて排出されるため、周囲に激しい臭いを発してしまうという。発症の原因はまだ詳しく分かっていないようだが、女性ホルモンが関係しているの説もあり、女性が発症するケースが多いとも言われている。

英国では、以前にも魚臭症候群を患った別の女性がメディアで紹介されて話題になったケースもあったが、まだまだ世間への認知度が低いと感じたジェームズさんは、自分の過去をメディアに告白。その狙いは的中して、英国の大手メディアを中心に注目を集めており、魚臭症候群に悩む人たちにとって大きな後押しとなったに違いない。

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