中国では最近、ある土地で行われている葬式時の一風変わった風習がメディアで紹介され、物議を醸している。それは出棺時に、霊柩車が本物のお金を道路にバラまくというもの。これにより道路は混乱、実際に渋滞を引き起こしていることから、当事者以外からすればたまったものではない。
中国メディア網易新聞などによると、これは遼寧省瀋陽市の沈遼路でたびたび目撃されている出来事。現場を実際に見た住民によれば、ある日の午前8時頃、10台ほどの霊柩車の隊列が交差点に差し掛かると速度を緩め、窓からお金をバラまき始めたそうだ。額は小額であるものの、大量の1角、5角、1元の硬貨および紙幣が宙に舞っては道路に落下。すると、付近の人々が我先にと道路に飛び出してきて、争うようにお金を拾い始めたという。道路は多くの人々であふれかえり、気付くと交通が困難な状況に。渋滞を引き起こしてしまった。
この地でこうした行為が起こる背景には、ある迷信が関係しているという。地元では出棺時にお金をバラまくことは“死者の通行料”になると信じられており、かつては慰霊用の(ニセモノの)紙幣をバラまいていた。それが経済的に豊かになるにつれて、いつの間にか本物のお金をバラまく人が現れるようになり、ほかの人がそうするならば自分もと、気付けば一種の風習となってしまったようだ。また、慰霊用の紙幣と異なり、本物のお金には多数の人が群がるため、その光景を楽しむようなおかしな雰囲気もあるのかもしれない。
この風習に対する地元民の意見は賛否両論で、理解を示す人がいる一方、「下品だ」「はた迷惑な行為」などと批判的な人もいる。ちなみに、「中華人民共和国人民幣管理条例」第27条と第43条では故意による人民元の破損を禁じているため、本物のお金をバラまく行為が抵触する可能性もあり、今後は取締りが強化されるとの見方もあるという。