亡き妻に捧げる“ギターの森”、空からも見えるオリジナルのギター。

2014/02/19 20:52 Written by Narinari.com編集部

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家にいながらにして、世界中の景色を気軽に楽しませてくれるGoogleマップ。その検索窓で「-33.867886, -63.987」と数字を入力し、航空写真を見ていただきたい。すると緑色に広がる大地の中に、はっきりとギターの形が浮かんで見えるはずだ。そこは、アルゼンチン・コルドバ州南部の草原地帯にある畑の一画。今から30年以上前、畑を所有する男性が若くして亡くなった妻のために木を植え続け、空から見える“ギターの森”を作ったのだという。

米デザイン情報サイト「Inhabitat」や米観光情報サイト「Atlas Obscura」などによると、“ギターの森”を作ったのは、この畑で農業を営んでいたペドロ・ウレタさん。1970年代、彼の妻グラシエラさんは所有する畑を空から見て、牛乳を入れるタンクのような変わった形をした場所があることに気が付き、大きな何かをデザインしてみてはどうかと提案したことがあったという。大好きな妻の願いを叶えてあげたい気持ちはあった彼だったが、当時は仕事が忙しくて手を付けられる状況になかったため、妻に「お互い時間ができたら取り掛かろう」と話していたそうだ。

ところが、妻の人生は夫に余裕が生まれる前に終わりを迎えてしまった。1977年、妻グラシエラさんが脳動脈瘤を起こし、25歳の若さで死去。突然の出来事とあって、ペドロさんは妻の死にしばらく苦しみ続けていたという。それから数年後、以前受けた提案を覚えていた夫は「妻への記念になるものを作ろう」と、彼女が大好きだったギターの形をした森作りに着手。デザイン立案から手がけた彼は、ギターを形作る外側に杉の木を、弦となる場所には青い葉を付けるユーカリの木を植えるなど、妻に捧げる“オリジナルギター”を完成させるために尽力した。

そして時は過ぎ、ペドロさんとグラシエラさんの夢は空からもはっきり見える“ギターの森”として結実。上空を飛ぶ飛行機からも容易に見えるため、彼らの作品は今でも気付いた乗客たちに「喜びをもたらしている」そうで、現在ではGoogleマップでも確認できるため、サプライズスポットとして世界中の人にも見て楽しまれているようだ。

ちなみに「飛行機に乗るのを怖がっていた」ペドロさん本人は、上から見たギターの森を「写真で見るだけ」だったそう。以前、英国の男性が亡き妻に捧げるハート型の森を作っていたと世界で話題になった話もあったが(※参考「亡き妻想い庭に巨大なハート、6,000本の木に囲まれた2人だけの空間。」 //www.narinari.com/Nd/20120718485.html)、共通しているのは誰かに見せるつもりではなく、夫がただ妻のためだけに森を作り上げたという点。Googleマップで誰もが簡単に世界中の景色を楽しめる今、愛する女性を想う男性が大地に残す大きな“記念碑”は、今後さらにいろいろな場所で生まれてくるのかもしれない。

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